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~空を舞うプリマドンナ《an・na》~
◆ ◆ ◆ ◆
バサッ……
【―――クスクス】
バサッ、バササッ…………
【キャハハハッ―――フフフッ――】
「あ~らあら、たかだか《K・ジェイ》がいなくなったくらいで―――いつまでメソメソ泣いてるのよ……情けないオチビちゃん、あんたねぇ……それでも男なの~?」
《K・ジェイ》の姿が完全に消えた後も、なかなかそれを受け入れきれずに呆然と、その場で何もできずに立ち尽くしていた僕は急に鳥が羽根をはばたかせるかのような音と女の子特有の甲高くて辺りに響き渡るほど大きな笑い声が聞こえてきた事に気づくと、不安と恐怖から戸惑いの表情を浮かべつつも音と笑い声が聞こえてきた方向に、おそるおそる目を向ける。
―――僕の遥か頭上の天井に張ってある綱。
―――その綱の上に余裕だと言わんばかりに自信満々そうに女の子が立っている。
―――まるでバレエに出てくる白鳥と湖の黒鳥のような黒いチュチュを着て頭にはライトに照らされキラキラと輝く金色の王冠をつけている。
―――そして、信じられない事に女の子の両腕は肩から指先にかけて全て真っ黒な羽根で覆われている。まるでカラスのような女の子だ。
「…………っ……!?」
「まあ、いいわ……《K・ジェイ》がいなくなった今……次にアンタにちょっかいを出すのはアタシの番。しっかり、いじめちゃうから覚悟なさいっ……情けないオチビちゃん!!」
―――カラスのような女の子の言葉を聞いて、僕は再び恐怖と不安に包まれてしまうのだった。
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