「いつまでもボーッとしてると痛い目を見るわよ！？それとも、わざとそうしてもらいたいのかしら――ねえ、アレン？あんたはキツイ言葉で責められるのが大好きな悪い子だものっ！！」 ――ﾊﾞｻｯ ――ﾊﾞｻ――ﾊﾞｻｯ ふいに、団長である《R》から優しく声をかえられて満足そうに微笑んでいた《an・na》という女の子が下から見上げていた僕の方へと顔を向けると、まるで子供が親に隠れて悪戯をする時のように愉快そうに笑いながら冷たい言葉を言い放ってきた。 そして、唐突に《an・na》は両腕を耳の脇辺りに上げたり、下げたりという行為を繰り返し始めた。 その行為は、鳥――それも全身が黒い衣裳に覆われているせいもあり、鴉の羽ばたく時の光景によく似ていると僕は思った。