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~喜怒哀楽の道化師《P・E》~
「エディ……僕の友達のエディが__こんな訳が分からない薄気味悪いサーカス団の団長と__親友、だって!?エディ___僕はママと同時に君をずっと探してたんだ……っ……だから、そんな変なピエロの格好をしてふざけてないで……こっちに来て!!」
「………」
エディは無言のまま___。
どれだけ僕が待っても___彼はぴくり、とも動こうともしない。動いているのは、エディの周りをフワリ、フワリと漂いながらを中央部分にそれぞれ不気味な《口》が浮かんでる彩りの風船たちだけだ。
【あはは……あの賢いアレンが必死だヨ、必死だヨ……嬉しいねエ、嬉しいねエ……】
黄色の風船__《喜》がケラケラと笑いながら何も言わないエディへと言う。
【黙れヨ、黙れヨ……今まデ、都合の悪いことハ全部見テ見ヌふりヲしテ__なかったことニしたくせニ……ッ……】
赤色の風船__《怒》が舌打ちをしてから不満を吐き捨てるかのように低い声色でエディへと言い放つ。
【でも―――あんなに可愛いアレンが困ってるヨ……哀しいねエ、哀しいねエ……アレンだっテ__あの人と同ジ……ボクの友達なのニ……ッ……】
水色の風船__《哀》がへの字型になった《口》から弱音を吐き捨てるかのように掠れた声でエディへと言う。掠れているせいで周りの拍手の音に掻き消されたせいで僕の耳には僅かしか届かない。
【うーん、面倒くさいねエ、面倒くさいねエ__アレンのことを友達だなんて……ボクは一度も思ったことないのニ……まあ、嫌なことハ忘れテ……全てヲ晒け出しちゃいなヨ……ねエ、アレン……】
桃色の風船__《楽》がニヤニヤと笑みを浮かべつつ弾んだ声でエディへと言う。
ドンッ…………!!
「エ、エディ……な、なにを……っ……!?」
「このこたちの___言う通りだよ、アレン……ボクは君を友達だと思ったことはないし……君はこれから全てをさらけ出して楽になるべきなんだ…っ……」
と、今まで何も言わず行動にさえ移さなかったエディが不意に僕の元へと歩み寄ってくる。
そして、彼は__困惑するしかない僕の体をふわり、と抱きしめたかと思うとそのまま油断しきってしまった僕を、普段の彼からは想像もつかないくらいに強い力で固く冷たい床へと勢いよく押し倒すのだった。
その途端、辺りは拍手大喝采___。
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