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~喜怒哀楽の道化師《P・E》~

【なあなあ、子豚みたいなボク…………!!暇そうなコイツと楽しい楽しいお遊戯をしても良いだろう?】 かつて共に幼なじみをバカにしてたクラスメイトであり取り巻きだった奴らの姿へ化けた赤色の【怒】の風船は、佇んだままのエディの方へ向くと初めて愉快げな調子で尋ねる。すると、エディな何も言わず___コクリ、と小さく頷いた。 それが合図だ―――といわんばかりに、四つの風船(もちろん全部意地悪だったかつてのクラスメイト達の姿に化けている)が一斉に押さえつけられてろくに抵抗すらままならない僕へと襲いかかってくる。 (た、食べられちゃう……っ……) きっと、奴らは弱々しい草食動物を前にした肉食獣みたいにバリ、バリ、ムシャムシャと音をたてながら僕をそのおぞましい口で食べてしまうんだ___とギュッと固く目を瞑る。それだけじゃなく、あまりの恐怖心から歯がガチ、ガチと鳴ってしまう。 元は風船だから、奴らから___体温は感じず僕の体をベタ、ベタと触ってくる手は冷たい。だからこそ、最悪な事に素肌を晒されて生まれたままの姿にさせられてしまった僕の体は奴らから触れられる度にいちいち刺激を感じてビクッ、ピクッと震えてしまう。 唯一、観客席で狂ったように拍手喝采をしこの異様な状況を楽しんでいる《紳士淑女の皆様方》にさらけ出してしまっている今の僕にとって___忌々しい四つの風船の中に僕が永遠の愛を誓ったジャックの姿に化けたのがいないというのが救いだった。 【あははっ……アレン、アレン___嬉しそうだネ……嬉しいヨ、嬉しいヨ……夢にまで見た天使みたいち可愛いアレンが手に入るんだから……】 タイムという名前のクラスメイトに化けた【怒】の赤色の風船と共に、僕の体を押さえつけながら好き勝手にベタベタと触ってくるのは【喜】の黄色の風船であり、かつてエディに対して意地悪だったセージという名前のクラスメイトだ。 元は桃色の風船の【楽】で今はクラスメイトであり、取り巻きだったローズマリーの姿をしてケタケタと笑いながら僕の体をなぶるようにゆっくりと撫で回してくる。 【も、もう……止めようヨ……止めようヨ__アレンも悪いと思ってるんだかラ……意地悪するなんテ__可哀想だヨ……】 ただ、ひとり___他の風船とは違って僕に一斉触れて来ないで体を押さえつけているだけの【哀】の風船―――かつて取り巻きだったチコリの姿に化けてる風船だけは切なそうに訴えかけてきた。 しかし―――、 「…………」 パチンッ………… ただ佇みながら無言で惨めな僕の姿を見下ろきてくるエディが一度、たった一度だけ指を軽やかに鳴らしただけで【哀】の風船は__シャボン玉が割れてしまうかのように、あっけなく弾け飛び狂ったショーが行われているこの場から消え去ってしまうのだった。 次の瞬間、あっけなく弾け飛んでしまった【哀】の風船の末路に対して呆然としてしまっている僕の顔にドロ、ドロ___或いはネバネバしてる白濁液が滴り落ちてくる。 セージの姿に化けてる【喜】の黄色い風船の大きく開いた口から___その白濁液が噴出している事に気付いた僕は慌てて目を背けてしまうのだった。

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