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~喜怒哀楽の道化師【P・E】~

◆◆◆ ズシャッ………… 「い、痛い……っ……こ、ここは……」 ナニカの手によって、上から落とされてしまう。ここがどこかは分からないけれど、襲ってきた痛みに耐えきれずに思わず叫んでしまった。 反射的に瞑ってしまった目をおそるおそる開いた時、真っ先に飛び込んできたのは___今まで暮らしてきた僕の部屋と同じチョコレート色で木目調のフローリングの床と、いつもベッド脇に置いてあった《びっくり箱の陽気なピエロの笑顔》___それと、壁に貼り付けてある僕が憧れてるヒーローのポスターだった。 ふと、ここで___ようやく、ある異変に気付く。先程まで、固くて僕に痛みを与えたフローリングの床が徐々に弾力を帯びてグニャグニャになっていく。それは、まるで風船のように柔らくて足を少し動かして地団駄を踏んでみようとするとぼよん、ぼよんと跳ね返り反発してくるのだ。 (こ、こんなのはおかしい……ここは僕の部屋のように見えるけど……違う……っ……こんな、こんな事をしてるのは……っ……) 「エディ___君でしょ……僕をこんな気味の悪い場所に連れてきたのは……こんなまどろっこしい方法じゃなくて……僕は君と話がしたい……だから、正々堂々と勝負しようよ……エディ……」 ベッド脇に置いてある《びっくり箱のピエロ》の前まで歩いていく。風船のように柔らかくグニャグニャになっているせいで何度も足をとられて転びそうになったけれど、それでも僕は___かつて無意識の内に見下していた幼なじみの【エディ】が擬態している《びっくり箱のピエロ》の元まで進んでいく。 ___《びっくり箱のピエロ》は何も答えようとしない。 シュッ…… シュ……ッ…… しかし、その代わりだといわんばかりに僕が《びっくり箱のピエロ》に擬態してる【エディ】に話しかけた直後、どこからともなく何かを何度も擦っているような奇妙な音が聞こえてくる。 そして、僕がその奇妙な音の発生源を調べようと《びっくり箱のピエロ》から目を離した時の事だった。 ビンッ…… と、急に《びっくり箱のピエロ》を支えているバネが弾ける音が辺りに響く。そして、そのせいで《びっくり箱の中にいたピエロ》の頭がグッタリと項垂れる。 もう役目は終わりだといいたげに___。 そしてその直後、ふいに背後から何ともいえない不気味な気配を感じた僕は慌てて振り返るのだった。

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