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~ボクは【道化師P・E】だから~

僕がおそるおそる目を開けた後、狂ったサーカスの舞台を周囲から見つめている不気味なマネキン【紳士淑女の皆様方】の興奮した様が真っ先に飛び込んできて、まるで夢から醒めて一気に現実へと引き戻された時のような不思議な感覚に陥ってしまう。 もはや、この狂ったサーカスの世界が夢なのかという事すら、今まで逃げてばかりで真実から目を逸らしていた僕には分からない__。 ただ、これだけはいえるというのは__エディが僕のパパをやっつけた事。しかも、それが僕を助けるためという間違った信念にエディが囚われているという事だ。 『悪い事や、間違った事をしたら__しかるべき罰を受けなきゃいけないんだ……アレン。賢い君なら分かるだろう?』 頭の中に____かつて、身近な誰かに言われた言葉を思い出す。誰が言ったのかという事なんて覚えてはいないし、いくらそれが男の人の言葉だったとはいえ__パパが教えてくれた言葉だったかまでは混乱しきっていて、色々な感情がぐちゃぐちゃにこんがらがっている僕の頭では思い出せない。 (それが誰の言葉かなんて__今はどうだっていい……それよりもエディには――しかるべき場所で罪を償ってもらわなきゃ……あんなパパだったとはいえ__エディは僕の大切な家族をやっつけたんだ) おそらく、これから__エディは真実を知った僕をやっつけようとしてくるだろう。今までの狂ったサーカス団員みたいに、僕の命までをも脅かすような攻撃を仕掛けてくるかもしれないし奇怪な姿をしてるかもしれない。 ソレがどういう物であれ、僕は今度こそエディと真っ直ぐに向き合って自分の力だけで、この大きな壁を乗り越えなくちゃいけないのだ。 今までみたいに逃げてばかりいたら、既に間違った考えに囚われて狂ってしまったエディを真に救う事なんて出来ない、と心の中で決意すると____これから何が起こるのだろうという不安や恐怖といった負の感情に押し潰されそうになりながらも僕は右手に特別なスノードロップの花を構えて臨戦態勢を取るのだった。 それを見計らったかのように舞台を覆っていた赤いカーテンが、ちらりと揺れた____。

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