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episode.2-3

「寝屋川隊長と調査の件で…申し訳ありませんが終日席を外します。メンテナンス業者とは後スケジュール調整だけなので、お願いして大丈夫ですか?」 「全然問題ない、超大丈夫、任せろ」 良い返事をして、内心胸を撫で下ろした。 1日居ないのか。 いや明日も明後日も居るだろう。 情緒不安定な自分を諌める。 萱島はいつもの姿を繕い、視線を液晶画面へと戻した。 「連絡先と名前は?…あ、メールか。ありがと」 「後その手前の、それも開いて下さい」 背後から戸和が上体を屈め、PCの画面を差した。 マウスを操作していた萱島の手がぴたりと止まった。 「主任?」 「……」 そこから何故か微動だにしない。 訝しげに上司を見やった。 横顔が傍目で分かるほど熱を持っている。 「聞こえてますか?」 「…ごめん、聞いてる」 妙に悩ましい顔をして、口元を押さえる。 拙い指先がやっとメールを展開した。 「ああ、面接…日程とか決めてくれたんだ、ありがとう…っていうかそもそも何処に求人出してんだ」 添付されたPDFを確認して萱島が呟く。 手指が今度は、落ち着きなく膝を叩いていた。 不審な上司へ目を眇める、青年はちらりと出口へ目線を走らせた。 「萱島さん、少しお話が。此処だと何ですから」 はて、人事の相談だろうか。 頭の回らない萱島は考えもなく了承し、PCを畳むや席を立った。

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