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extra.1-4
「…ど、どの辺が?」
「分かんないけど、俺海ってあんま綺麗だと思った事なくてさ」
でもこれは何か、ずっと見てたい。
恥ずかしげもなくそんな台詞を発する萱島に、青年の顔がみるみる熱を持った。
「あ…」
煙草を吸い方も忘れた様に、どうして良いか分からず弄ぶ。
「ありがとう、ございます」
声が詰まった。
そう、誰にも理解して貰えなかったが。
海が綺麗だと思って、描いた絵なのだ。
「これ欲しいな…あ、お金払ったらくれる?」
「お、お金なんて…!全然…その、こんなの貰ってくれるんなら、それだけで…」
寧ろ自分は先程、煙草を奢られたばかりだ。
無論躊躇う気持ちもあったが。IDを聞いて、画像を添付して送った。
彼は此方が辟易するくらい嬉しそうだった。
待受にしようなどと笑って、本当にするものだから、小林は必死に気を紛らわそうと煙を吸った。
「もっと描いてよ小林くん」
携帯を飽きもせず眺める。
初めてじっくりと、その横顔を観察した。
顔小さいな。
目が大きい、虹彩がとても美しい。
あれは何色だろうか。イエローオーカーが混じった様な、いやもっと儚い。
(あれ、もしかしなくとも)
この人めちゃくちゃ可愛くないか。
コーヒー缶を口元に寄せ、傾ける。
ふっくらと色付いた唇が濡れる。
とても柔らかそうで、無意識に喉が鳴る。
キスしたい。
ティーンの様な衝動が押し寄せ、ボックスを握り締めた。
吸わぬまま煙草がじりじりと灰になる。
「あ」
突然、彼は声を上げた。
思わずびくりと肩を揺らす。
その視線の先を追うと、駐車場の向こうから男の2人連れが歩いて来た。
ジャージにトレーナーという恐ろしくラフな格好と、どう見ても水商売風の格好。
珍妙な組み合わせに小林は眉を寄せた。
しかも、片方は知人だった。
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