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episode.3-4
中央線に乗り換えた辺りで電車が遅延したが、何とか朝礼の半刻前には戻れた。
本部の上階は社宅になっており、地下駐車場からそのまま車でエントランスまで侵入できる。
と言うよりその通路しか無い。
ドリルカーが突っ込んできた件もあり、それなりに身を隠さねば難しい様だ。
本当に、一体何処にどんな文面で求人を出したのか。
「…わあ」
萱島の隣に赤い車体が滑り込む。
この目に痛い車は。
綺麗にライン沿いに停止する姿を、突っ立って見守る。
便の悪さから副班以上は殆どが社宅を忌避している。
故に、車で乗り入れるのは彼らと決まっていた。
運転席のドアが開け放たれ、案の定降りてきたのは間宮だった。
相も変わらず奇抜なシャツと、運転用のサングラス。
そのままベガスにでも向かいそうな出で立ちだった。
(…何処の人間だよ)
「あれ、主任」
しかも助手席からもう1人現れる。
ヘッドホンを首に掛けた千葉が此方に声を張っていた。
「珍しいっすね、今出勤ですか?」
「そうだけど…」
レザー調の鞄を肩にドアを閉めた。
仲良く相乗りで現れた2人に、萱島は怪訝な顔をした。
「お前ら何で一緒に来てんだよ。家真逆だろ」
「いやそれが昨日偶々…エフェクタのメーカーについて白熱しちゃって」
「ほんと熱かった。3時間枠で番組作れるレベル」
「あとお前の格好何なの」
「俺無地の服って持って無いんですよね」
サングラスを仕舞いながら悪びれもせず言った。
最早そんな問題でもない気がしたが。
(面接にこんな奴来たらどうしよう)
思案しつつ、少し先を行く。
入り口で社員証を翳し、パスコードを入れて無人のエントランスを通過した。
地上はやれオリンピックだバレンタインだと綺羅びやかに飾られているのに、此処の陰鬱な空気は1年を通して何の変化もない。
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