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episode.4-4
「萱島さん」
「はい?」
「何で下着なんですか」
「脱いだから」
萱島は公式でも述べるかの如く即答した。
寝ている最中に脱いでしまうのがこの男の癖だった。
はた迷惑な話だが。
「……」
対して部下は何か…珍妙な物にでも出会したような顔で睨んでいた。
「このさ、コンビニのパンツってさ、店毎に品揃え違うじゃんか。こないだ会社の前のコンビニ行った時にな」
「貴方は頭の中に何詰めてんですか?」
「何って何だよ。細やかな夢がいっぱい…あ、何すんだ戸和…!止めろや…やめて下さいよ!」
「カラなんですか?」
いきなり脚を掴んで引っ繰り返された。
形容し難いが、とても恥ずかしい格好をしていた。
その恥ずかしい格好のまま、あろう事か彼は携帯のカメラを起動させるではないか。
「え、やだ、お前何撮ってんの」
カシャカシャと淡白な音が響く。
「…撮るな、撮るなって。ごめんって」
昨日襲った男の隣で、パンツ一丁で寝ている間抜けが此処に居た。
朝から馬鹿馬鹿しさに溜息が出た。
「あの…どうするんですかその画像」
解放され、疲弊しつつも萱島が尋ねる。
画面を操作した後、戸和は淡泊に再び画面を見せつけた。
「待受にしときました」
「…何だって?」
「俺会社に居る時、あんまり携帯持ち歩かないんですよね」
それは知ってますが。
萱島が無言になった。
戸和は存外にも、私用携帯を無造作に置きっ放しにしていた。
「萱島さん、俺と付き合ってる事は隠しておいて欲しいですか?」
さて、何だろうこの不穏な空気は。
萱島は漸く其処で、部下が脅しのネタをちらつかせている事に気付いたのだった。
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