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episode.5-13
「よ、用ったってこっちは今…取り込み中だ!」
「別に通して貰えればそれで良いからさ」
「…おい何やってる!」
同僚と思しき男の怒声が割り込んだ。
更に融通の利かなさそうな、如何にもアウトローに生きてきた風貌が車上から現れる。
「何だお前は、さっさと消えねえとブチ殺すぞ!」
「勘弁してよ…面倒臭い」
『御坂、その男の銃は安全装置が掛かっていません。今直ぐ後退して下さい』
彼方此方からまったく。
短気な男の機嫌がみるみる下降する。
これ以上の談判は不要だと切り捨て、御坂は構わずエントランスへの階段を上り始めた。
「あ…おい!」
我に返った敵が顔色を変え、慌てて一帯へ大声を張り上げる。
「その白衣の男を止めろ…!恐らく奴の関係者だ、撃っても構わん!」
取り巻く人員が銃を構えた。
呑気に階段を跨ぐ目標を捉え、直ぐさまAKのサイトを合わせた。
「待て」
歩を止めた御坂が声を発する。
照門を覗き、狙いを定めた敵はそれを一蹴した。
「はっ…誰がテメエの…」
忠告はしたのだ。しかし一歩遅く、敵は次々と米神から血を噴出し始めた。
悲鳴も無く芝生の上へ転がる。
一人残された男は、周囲の死体を見回して凍り付いていた。
「え、あ、」
何が起きた。何処から弾が飛んで来た。
膠着する玄関前、御坂は1人憮然と眼鏡を押し上げる。
「…待てって言ったじゃない」
『勘違いするな御坂康祐、我々は貴様の部下でない』
なんて厄介なお荷物だ。
目の上の瘤だ。
『早く安全な場所へ、巻き込みます』
「僕も君に命令される謂れは無いよ」
耳元で狙撃手が二度目の舌打ちをした。
御坂はインカムの電源を落とすや、変わらず飄々とした足取りで残りの段を上り始めた。
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