103 / 203

episode.5-14

「数が多い…!」 苛々とローテーブルを蹴り飛ばし、向こうの体勢を崩す。 その上に乗り上げ一撃をお見舞いしたが、直ぐに新たな弾が飛来した。 一度脇へと身を隠し、萱島はふとR5を視線の延長上に掲げる。 「…曲がっとる」 銃身で馬鹿みたいに殴ったお陰で、可哀想にフレームが少々イカれてしまった。 「隊長!これ弾出ないんですけどこれ、どうしたら良いんですか!」 『セレクターを回せ』 「何ですかそれ!」 『グリップの上にあるだろ』 確認すると確かに安全装置が掛かっていた。 レバーを修正し、改めて敵へと照準を合わせる。 トリガーを引けば反動を感じた。 そうして目前の男のエモノが、景気よく吹っ飛んでいた。 「…撃てた」 存外に感触も軽い。 思わずまじまじとR5を見詰める萱島を他所に、てっきり弾切れかと踏んでいた敵は竦み上がる。 「ふふん…撃てたらこっちのもんだコンチクショウ」 何故態々初めからハンデを負っていたのか。 『合流するぞ萱島、一旦左側面の客間に入る』 「あ、はい」 玄関前の軍用車が鬱陶しい。 機銃は無力化したが、あの盾に篭もられては迂闊に近づけない。 硝子も防弾か。 眉間に皺を寄せていると、不意にその隙間を縫って人影が現れた。 (…は?) 虚を突かれて固まる。 逆光で面は見えないが、何者かがまるで我が家へ帰宅するように歩いてくる。 軍用車両を物ともしないその姿が異質で、 余りに超然と景色から浮き出していて。 全身の毛を逆立て、萱島は反射的に銃を構える。 ところがトリガーを引こうとした寸前、俄かに横からの衝撃で地面へ突っ込んでいた。 「ぎゃふん」 「待て萱島、撃つな」 それを先に言うべきだ。 追い付いた寝屋川の一撃を受け、可哀想な部下はそのまま動かなくなる。 「寝屋川くん?」 其処へ矢張り、知った声が飛んできた。 逆光に立つ白衣を見やり、寝屋川は訝し気に目を眇めた。 御坂康祐。 神崎の古い知人らしく、寝屋川とてそれ以上の情報は知り得ない。 いつもの護衛は勿論健在で、背後から夥しい殺気が押し寄せている。 彼の通った階段には、無残な屍が転々と転がっていた。

ともだちにシェアしよう!