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extra.3-3
「小林くんと日滝さんも誘いましたよ」
「あ、そうなの?じゃあ一緒に行く?」
「「え!?」」
「えっ」
先輩とハモってしまった。
仰天する店員2名に、今度は彼の方がどうして良いやら分からず目を瞬いている。
「あ、すいません…嫌なら…」
「…ちっ、違います違います!嫌な訳じゃなくて、良いのかなって思っただけで…!」
「ほんとに?や、俺は全然構わんけど…そう、良かった…」
突然声のトーンが落ち込み、相手は何やらぽつりと明後日を見て零す。
「2人にまで嫌われてんのかと思った」
(まで?)
首を傾ける。
こんな可愛い人が嫌われる要因など、何処にも見当たらないと思うのだが。
「ありがと、またメッセで連絡するね」
「…はい!」
隣から先輩の視線を感じた。
何故お前は連絡先を知っている、と言わんばかりの目だ。
はん、ざまあみろ。
ついでに出来る事なら、当日は空気を読んで腹でも下せ。
そして萱島さんは煙草を手に、部下の彼と二言三言交わして去ってしまった。
自動ドアを過ぎてなお、無意識に後ろ姿を追うのは習慣になっている。
(あれ…)
彼は退店して直ぐ歩みを止めた。
どうやら軒下で電話をしていた男性が、煙草を要求したお連れ様だったらしい。
厚いガラス越しにちらりと横顔が見え、少々ぎょっとした。
背の高いハーフと思しき、一般人とは言い難い男性が立っていた。
その彼が仕立ての良い外套を靡かせ歩き出すや、萱島さんは何か怒りながらも慌てて追い掛け始める。
「…あの」
「ん?」
棒立ちのまま、気付けば目前の千葉君とやらに尋ねていた。
視線の先では引き留めにかかった萱島さんが、べったりと相手に腕を絡めていた。
「隣の方は…その、か、彼氏さんで?」
千葉君はさあ、と気の無い返事を寄越す。
携帯でメールを返す事に忙しいのか。
いきなり現れた存在に当惑を隠せない。
仕事も忘れて凝視していた直後、手中のチケットが到頭皺を作っていた。
早朝の人気のない駐車場で、躊躇いもなく彼が相手へ抱き着いている。
面倒そうな相手にも怯まずくっつく姿を認め、青年の顔はみるみる色を欠いていた。
(その内彼氏も連れて来そうな沙南ちゃん)
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