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episode.6-2

「や、やめて」 ぷつり。 至極簡単に留め具が外された。 そのまま下段へと伸びる。 例え目を逸らそうが、感触に頭の中がぐちゃぐちゃになった。 肩が震える。 懸命に逃れようと力を込めた。 「こっち向いて」 砂糖を多分に乗せた声が落ちてきた。 地面を睨みつけ、萱島は無言で抵抗を示した。 外気に晒された鎖骨が粟立つ。 まるで温める様に、戸和の手が触れた。 「っ、あ」 止めて。 じゃないと頭が変になる。 明らかに性的な目的で指先が下へと辿り、視界が真っ赤に染まる。 また懇願した。 これから始まるであろう事を想像するだけで、すべてが堪らなくて、視界がぼやけた。 「ね、戸和…や、やだ」 回された腕を外そうと握った。 ちっとも動かなかった。 「ねえ、やめよ」 蚊の鳴くような声が落ちた。 強い力に身が竦む。 否応無く、身体は覚えている。 あの男のお陰で、萱島にとってのそういった行為はどうしたって恐怖も伴った。 「え、あ…っや、う」 突然、強烈な痺れが背筋を突き抜けた。 がくんと虚脱してシンクの縁にしがみつく。 一寸何が起きたのかと身体に視線を巡らせた所で、相手の手が胸の柔らかい箇所を触っているのに気付いた。 「ん、ふうっ…あ」 かあっと頬に赤みが刺す。 全身が耐え難い熱を帯びる。 其処にしか逃げ場がないように、萱島は冷たい縁に縋った。 やめてはくれなかった。 戸和の指は、背後から容赦なく敏感な部分を弄った。 「や、あぅ、ん」 シャツの隙間から熱い掌がじっとりと撫でる。 それだけで崩れ落ちる身体を、無理矢理抱き寄せて引き上げた。 「…っめ、て」 「立てないの」 「あ、さわんな、でっ」 「ベッド行きましょうか」 「い、いやだ」 何の苦もなく抱き上げる相手のシャツを引っ張った。 そっちの方向は寝室だ。 往生際悪く、けれど当人は防衛本能から必死に抗っていた。

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