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episode.6-8
「…嫌ですよ」
「何?」
「そんなの俺は四六時中…気の休まる時が無いじゃないですか」
「はあ…?」
怖い怖い、目が怖い。
その此方を射殺さんばかりの眼光を、向けないで頂きたい。
「いや…ばか、だから、さっき言ったじゃんかぁ…」
「俺の事が好き過ぎてどうしようって話ですか?」
「そうだよ、分かっ…」
中途でフリーズした。
青くなったかと思えば、その顔がまたみるみる羞恥に染まる。
忙しい人間だ。
1人冷静に、しみじみ感じ入りつつ戸和は純粋な疑問を述べた。
「具体的に俺のどこが好きなんですか?」
「…うん?」
「今後の参考にぜひ」
「はい…ああ、え?」
面白いように狼狽する相手に助け船は出してやらなかった。
手を束ねて傍観に徹する。
萱島は何度か逡巡し、口を開閉だけした後、ようやっと恐々言ってのけた。
「どこって…」
「……」
「い、いっこだけ?」
「別に限定はしてませんけど」
「あ、そう…じゃあ」
何故か、突拍子無く大胆な事を吐くのだ。
「全部…」
「……」
「……その…すいません」
また沈黙が降って来た。
自らの言葉を理解して居たたまれなくなったのか。
次第に目をぐるぐるさせ、萱島は顔を覆って塞ぎ込んだ。
だって苦心しても嘘は吐けない性格なのだから、そんな事を問う方が悪いのだ。
「…引っ越しはまた今度にしましょうか」
「え」
どういう事なんだ。
つい面を上げた所で、身体ごと攫われた。
「、んう」
些か急いたキスが襲った。
今し方までの宥める様な色と違い、熱い舌が無遠慮に歯を割った。
「…っふあ」
納得したんじゃなかったのか。
大人しく牙を納めたかと思えば、結局また噛み付くではないか。
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