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episode.6-9
今までの、話は、何の。
「……っ」
堪える事に必死で頭が働かない。
舌の先端を掬う様に舐め取られ、ふにゃりと力が抜けた。
詐欺、むっつりすけべ。
頭の中が稚拙な罵倒で満ちる。
頼りない腰を支える手が、襲う舌がとにかく熱い。
やめて欲しい。
気を抜いたら、いいやもう抜かなくとも
「…ほら、またそんな顔する」
長いキスを終えた青年が覗き込んでいる。
頬を支え、咎める目つきを向けて。
唾液に濡れた唇を指先が拭った。
辛そうな息を吐く萱島は、理解も成す術も無くただ見上げていた。
「っ、へ…?」
「やらしい顔」
目を丸くした所、シーツに沈められた。
あっと悲鳴を上げる間も無い。
「ちょっと触っただけで、直ぐそういう反応をする」
「っ…れは、変な…触り方するから!」
「変?」
横たわる上体のセンターラインを、指先がつうっと撫で上げた。
喉の奥からか細い息が漏れた。
「変って、どんな」
獰猛な瞳が見ている。
妖しい鈍色の輝きに、萱島は慄き固唾を飲んだ。
蛇に睨まれた蛙だ。
俎板の上の鯉だ。
「や、ちょ…ちょっと…お前…」
怖い。
圧に金縛りにあっている間に、留め具の外れたシャツの前を割られた。
「ひっ」
「…これは何?」
露出した胸元をじっとりと指が這う。
展開に、その感触に目を白黒させる萱島を放って、彼は詰問の如く声を潜めた。
刺激にぷくりと立ち上がる突起が、白い肌に殊更に主張していた。
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