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episode.6-10
「ち、ちがぁ…っんん」
長い指が柔らかくそれを押し潰す。
火照る顔を腕で覆い、シーツの上で衝撃に身を捩った。
「気持ち良いの」
追い掛けて耳元で問われた。
涙を湛え、唇を噛んで首を振る。
触られたところから、びりびりと全身に痺れが広がり始めた。
きゅっと摘まれるや、蕩ける様に甘い疼きが湧き、半ば泣き声に近い喘ぎが零れた。
「や、っふ…や、ゃだ」
溺れそうになる最中で必死に相手の腕を掴む。
どうしてこんなにビクともしない。
「あ、…めて、ばか、っ…」
「沙南、こっち見て」
仕舞いには両手を縫い止められた。
もう文字通り手も足も出ない。
ただ襲って来る快楽に悶えて、ちっぽけな自尊心で目を背けるだけだ。
「ふぁ…っ、あ、はなして」
じんじん弄られた箇所が熱い。
しつこく其処ばかり、摘まんだり優しく擦る。
そんな風に目の前で、他ならぬ彼の指が苛めている。
これ程恥ずかしい事があるだろうか。
「ひ、あ…ぁう…」
次第に萱島の唇から漏れる音が、意味を成さなくなった。
足掻こうと頑張っていた腕からかくんと力が落ちた。
「…沙南」
荒い息だけを紡ぐ姿が、虚脱して投げ出されている。
乱れた髪から濡れた瞳から、熟れた肌から。
何から何まで天真な普段からは想像出来ぬ、露骨なまでの艶が視線を絡め取った。
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