123 / 203

episode.6-10

「ち、ちがぁ…っんん」 長い指が柔らかくそれを押し潰す。 火照る顔を腕で覆い、シーツの上で衝撃に身を捩った。 「気持ち良いの」 追い掛けて耳元で問われた。 涙を湛え、唇を噛んで首を振る。 触られたところから、びりびりと全身に痺れが広がり始めた。 きゅっと摘まれるや、蕩ける様に甘い疼きが湧き、半ば泣き声に近い喘ぎが零れた。 「や、っふ…や、ゃだ」 溺れそうになる最中で必死に相手の腕を掴む。 どうしてこんなにビクともしない。 「あ、…めて、ばか、っ…」 「沙南、こっち見て」 仕舞いには両手を縫い止められた。 もう文字通り手も足も出ない。 ただ襲って来る快楽に悶えて、ちっぽけな自尊心で目を背けるだけだ。 「ふぁ…っ、あ、はなして」 じんじん弄られた箇所が熱い。 しつこく其処ばかり、摘まんだり優しく擦る。 そんな風に目の前で、他ならぬ彼の指が苛めている。 これ程恥ずかしい事があるだろうか。 「ひ、あ…ぁう…」 次第に萱島の唇から漏れる音が、意味を成さなくなった。 足掻こうと頑張っていた腕からかくんと力が落ちた。 「…沙南」 荒い息だけを紡ぐ姿が、虚脱して投げ出されている。 乱れた髪から濡れた瞳から、熟れた肌から。 何から何まで天真な普段からは想像出来ぬ、露骨なまでの艶が視線を絡め取った。

ともだちにシェアしよう!