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episode.6-12
「っ…、ん」
長い指が背骨を辿る。
下着の中へ侵入する。
柔らかい肉を押して、隠れた中心を指先が引っ掻いた。
「ひ、…」
「……」
手を入れた箇所が濡れていた。
知らず下着の中で、溢れた先走りが溝を伝っていた。
もうこんなになっている醜態を、赤い顔で、必死に隠そうとしてる。
穴だらけのプライドは何を尊んでいるのだろう。
実体としてさわれた秘所は火照りきって、あっさりと指を迎え入れたのに。
「ぁ、とわぁ」
「どうしたの」
「っこわいよう」
青年の首に絡み付いた。
必死になって身を震わせる。
絶壁から放り出された心地で、只管に目前の身体を引き寄せた。
「んん…」
はっきり艶の混じった声が鼻から抜ける。
下肢が勝手に指の侵入を悦び、いっそ急かしていた。
「ふっ、ぅ」
お願いだから何も見ないで。
見ないで。今の自分を。
こんな情けない姿を君に晒してる。
明日から何も出来なくて、君と同じ空気を吸う事すら憚られる様になる。
「沙南、顔見せて」
恐ろしく熱っぽい声だった。
本当に、彼かも疑わしい。
「ね、と…とわ」
柔らかく入口をなぞられ、熱塗れの中を擦る。
頻りに耳を塞ぎたくなる音がした。
指が肉を割り、愛撫を施す度に快楽を処理するのに一杯で、声が抑えられない。
切ない、泣き声に近い喘ぎが零れる。
消えてしまいたい。
「とわ、…あっ」
「ん」
「も、っだめだよ…ねえ」
「何が」
「ぁっ、…めてよ、ぅ」
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