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episode.7-14
またシーツの上に蹲る姿を撫でる。
記憶とたがうのは、すっかり困り果て、視線から手指からぎこちなく惑っていた。
薄く開いた唇を触った。
指を何本か押し込めたら、それで足りてしまいそうな容積だ。
強張る肩、床を向く顔に至るまで、すべてが小さなつくりをしている。
柔らかく優しくしてやらないといけなかった。
「ん、ん」
身じろぐのを引き寄せ、端から舐め、力を抜かせた。
唾液が甘い。
擽る舌先から、内側の肉から、何処も彼処も不自然なほど甘い。
「…ふ、は」
とろりと落ちた瞳が揺れた。
滲んだ飴色にぽっかり己が浮かんでいた。
撫ぜて、落ち着けてやりながら指の腹で鎖骨を辿る。
じっとりと。身体の形を確かめる様に。
「自分で脱いで」
「え?」
「誘ったんだからそれ位出来るでしょう」
一切が凍る。困るどころか泣きかけていた。
然れど袖手傍観を貫く。助けてはやらなかった。
致方なく小さな手がシャツへ伸びた。
異常に勿体ぶった指が釦を掴まえた。
本当にもたもたと、その擬音通りだった。
青年の眉間に皺が寄る。態ととしか思い難かった。
「…また叱って欲しいのか」
「そ、そうじゃなくて」
「何」
「で…電気」
反射的に天井を仰ぐ。
煌々とはいくまいも、デティールがすっかり視認出来る間接照明が下がっている。
確かに今日はやけにはっきり見えると思った。
恥じらう肌の染色まで映る。ほんのり紅い鎖骨が目前で上下していた。
服が邪魔だ。
青年は有無を言わさず、さっさと裾を託し上げた。
「あ、ちょ…い、いやだ」
また始まった。聞いていたらきりが無い。
隠す物を奪ってやったら、底から情けない声が漏れた。
「見ないでよう」
「どうして」
腕の下で必死に身体を捩る。
造りをすべて確認しておきたかった。爪先に至るまで、ひとつも知らない箇所が無い様に。
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