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episode.7-15

白い滑らかな胸の上、慎ましく突起が色付いている。 優しく指先で摘む。 それだけでもう、本当に難なく声が溢れる。 「は、ぅ…」 全身に痺れを走らせて弛緩した。 きゅっと押し潰し、慈しんで擽る。 「ふ、ふあ」 「沙南」 「…へ、ぇ?」 「舐めてあげようか」 殊更に意地の悪い顔で青年が見ていた。 今日も頭の中がすっからになった。 耳元まで林檎に等しく染まる。今にも涙を零しそうな目で、逃げる様に首を横に振っていた。 「して欲しいのか嫌なのかどっち」 口はすっかり只の呼吸器だった。 悄然と視線を落とし、逸らすしか出来ない子供の頬を攫う。 追求は止めず胸を弄ぶ。 簡単に感じて悦んでおきながら、恥ずかしいのか、懲りずにシャツを引っ手繰って引き剥がそうとしていた。 「っ、いず」 「ん?」 「そ、それいやだ」 「じゃあ何なら良いの」 答えを持たない萱島の眉尻が垂れた。 結局堪え性が無いだけだ。 照明を背景に、覆い被さる部下の澄んだ瞳がじっと捉えていた。 痴態を余すことなく。 何なら良いだなんて。浮かぶ言葉も無い。 何をされたって、どんな反応をしたって。毫も逃さず焦がれた相手が見ているじゃないか。 酸素が断たれ真ん中から壊れそうだった。 「あ…あのね」 「何」 逆立ちしても敵わない。絶対の強者に、萱島は打算のない素直な心象を零した。 「…キスがしたい」 消え入りそうな音が紡ぐ。 ほんの少し目前の瞳孔が開いた。 それだけが唯一、眼差しから抜け出せる気がしたのだ。 遠ざけられないと知り、不安に晒された身体が今度は相手へとしがみついた。 それが更に抱き寄せられる。 間も無く唇に感触が重なり、熱が灯された。

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