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extra.6-2

両者が毛程も足しにもならないやり取りをしていると、千葉が顰め面で催促の手を伸ばした。 間の抜けた顔で牧が首を傾げる。 意図が分からん。 無反応なリーダーに、痺れを切らした千葉が吠えた。 「良いからその脇にある斜塔を寄越せ」 「…なに、集計結果のこと?これ解析未だなんだけど…」 はっきり眉間に皺を寄せ、本音から牧が尋ねた。 「お前…パソコン使えんの?」 「死んでくれ俺を侮辱した罪で」 「初耳なんですけど」 「Accessで素材抽出のシステム作ったの誰だと思ってんだ」 隣の間宮まで動きが止まった。 何か、霹靂でも浴びたような面でヘッドフォンを掛けた男を凝視していた。 「そうだ…あれお前が作ったんじゃねえか…!」 「だからそう言ってんだろ」 「だからじゃねえよ、お前…プログラム組めないとかほざいて丸投げしてんじゃねえよ!」 牧が泣き喚く。 そう言えば出来はするがVBAなんて見るのも面倒で、今まですっかり得意な相手にぶん投げていた。 未だリーダーは文句を続けている。見兼ねた間宮が椅子を蹴り、アホみたいな応酬が勃発した。 懐かしい。自然にそんな所感が生まれ、千葉は目を瞬く。 それは一昨年の日常、彼方此方生傷を抱えたまま、それでも降って湧く仕事に致し方なく進み出した。 当時支柱を作っていたのはこの3人で、今も超人じみた上が現れこそしたが、根幹は変わらない。 さて奇しくも同じことを考えていたのか。 不意に牧が同僚を振り返り呟いた。 「…そーいや懐かしいなこの席」 何故だろう。 そうやって、他に言われると痒いものがあった。 「何だお前、懐古厨か」 「黄昏てんじゃねえぞジジイ」 「黙らっしゃい」 今度こそ拗ねたのか、リーダーはパソコンごと明後日を向く。 何だかなあ。 千葉は昔を思い出してから手を束ね、図らずも部屋の前方を見やった。 既視の様であの時とは、どうしたって違うのだ。 今はあの席に存在すべき人物が居るのだから。 (はよ帰って来い) 仕事の不都合半分、寂しさ半分 千葉は待っていた。恐らく面に出さないだけで、他の誰もかも。 (ちょっと暗い話が続くので、閑話休題)

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