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Epilogue ~R.I.C This is where we belong~
「――なあ見ただろ?可愛いだろ、天使だろ、浄化されるだろ?」
携帯を顔面に押し付ける男の手前、部下はげんなりして手で払った。
何とまあ鬱陶しい。朝からこの調子で一体何人に絡んで回ったのか、その間に幾つ校正が済むというのか。
「ヤバイぞ俺死期近いぞ、だって天使見えてんだもん…え、お前も見える?まさか…これは天使じゃなく俺の…」
「ウゼえ!!」
実にダイレクトな暴言と共に席を立った。
ついでに書類も投げ付けたが、見事に躱して上司は未だデレデレ頬を染めていた。
「殴ろう、そろそろ手を出そう」
「では総意を代表して…此処は間宮リーダー」
「何故」
さて悠長に相手をしているが、まったく現状暇ではない。
この会社に就職して暇になった例は無いが、当社比で言っても忙しい。
なのに何を、こんなに先から邪魔が働いているかと申せば。
コイツの所為だ。この第二子出来てホヤホヤの責任者の糞野郎だ。
「牧主任!良いですか…正直生まれたての乳児なんてあんま可愛く見えませんよ、況してや他人の!」
「でも聞いて、俺が近づいたら泣くの。嫌われてんのかなどうしよう」
「聞いてじゃねえよ。お前が聞け」
一人目も酷かったが、二人目で余計に悪化した。
子供に罪はない。しかし。
悶々としていた矢先、眼鏡を掛けた童貞がやって来た。
珍しく書類の類を持っている。そうして真ん前に来て、責任者の眼前に叩き付けた。
「…何?」
「何じゃない、FAXだよ。お前の署名入れてさっさと送れ」
「何処に…ああ、ロサンゼルス?」
仕事の催促に露骨に嫌な顔をした。
致し方なく海堂から紙を引っ手繰り、サインを施す。
中途で手を止め、奇妙に空いたスペースに首を捻った。
「これ何でこんな空いてんの?」
「ああ一件急に白紙になったから」
「印刷し直せよ…否、俺の息子の写真でも貼るか」
当然の如く、背後から誰かも分からない手が主任の後頭部を殴った。
痛みの余り突っ伏す。
用済みの男を放ったらかし、レポートを拾った間宮が勝手に空白へペンを走らせた。
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