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Epilogue-2

「…俺が特ダネでも書いといてやるよ」 「おいその件…誤報じゃなかったのか」 「誤報というか未確認情報ですけれども」 あろうことかしかもマーカーで、結果最も其処が目立つよう強調した。 受取人が見たら腰を抜かすのでは。 「牧主任、送っときますんで」 「うん…俺の唯は」 「貼らせねえよ」 コピー機にセットする寸前、間宮は更に下部へ近況を書き加えた。 “今日も本部は五月蝿いです” “人足りません。募集かけろ” ――その問題のFAXを相手先が受け取ったのは午後3時12分。 L.A.の住宅街に構えた真新しい建物の中、ドーナッツを貪るスーツの男がレポートを摘み上げた。 「…What the hell」 咀嚼するのも忘れ、呆然と佇む。 彼の視線は一点、勿論後書きされた太字の箇所に吸い寄せられていた。 「嘘だろ…?彼が…そんなまさか」 1人では衝撃を処理できず、次いでキョロキョロと人を捜して視線を巡らせた。 ドーナッツの袋を放り投げ、どうせ執務室で寝ていると踏んで忙しなく其方へと駆け出した。 「ヘイ!支部長!!」 喧しい声量だ。 にも関わらず、ソファーに身を投げ出した上司は一向に目を覚まさない。 「支部長!とんでもない事件だ、さっさと起きてくれ!」 ズカズカと間近に歩み寄り、乱暴に肩を揺する。 おまけに部下は殊更デカい声で叫んだ。 「――萱島支部長!」 今度は耳元だ。 流石に薄目を開け、萱島は頭上で叫ぶ根源に気が付いた。 「…何だよ」 「良いからこれを見てくれ!この太字のトピックだ…!」 寝起きでピントも怪しい中、突き付けられた紙を奪い取る。 「……“本郷副社長…再婚か”…」 音読し、再度頭で反芻し、暫く処理した後。 絶叫したのは今度は萱島だった。 「ええええ!!!」 「畜生!この手書きは誰が書いたんだ、ソース何処だ!」 「そもそも何でFAXで知らなきゃいけないんだよ…芸能人か糞が…!」 一頻り悪態をついたもののショックが収まらず、勢いに任せて電話を掛けた。 因みに此方に来てからというもの、萱島は更に言葉遣いが悪くなっていた。

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