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第4話 泉
『…ぴちゃん……』
また、音が聞こえる。
僕は音が聞こえる方へと無心で歩いていく。
寒かったことも、体調が悪かったことも忘れて…。
まるで音に導かれるように……。
暗い森の中をただ歩く……すると開けた場所に出た。
「うわぁ……!」
そこには一面の白いつつじの花畑と……大きな泉があった。
透明な水面がきらきらと輝く星の光をはじいて、つつじの花まで光輝いているようで……とても美しい……幻想的な光景が広がっていた。
「きれい……」
僕はその光景に心を奪われた。
こんな綺麗な景色…今まで見たことがない…。
歩いて泉のそばに行き、しゃがんで水面を上から覗いてみる。
暗くてもとても綺麗な水だとわかる。
星の光に照らされて、水自体が淡く、蒼く光輝いているようだった。
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