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第5話
「見て!パラソル借りたんやで。」
駆け寄ってきたクミに手を取られて、エリも走り出す。
「早よ、海入ろ!」
「えー、ちょっと待って!」
「はあっ?私、さっきまで充分待ってたと思うけど?」
「ご、ゴメン!でも、ホンマにちょっとだけ。スムージ置くだけやし。…キャッ!クミちゃん、メガネに水、かけんといてー!」
何となく、波打ち際ではしゃぐ2人を見てたら、パラソルの下からタケに呼ばれた。
「スムージー、旨いな。」
いつの間にエリから受け取ったんやろか?
ちゃっかり、カップの中身を減らして御満悦や。
「ぁ!ソレ、エリのやぞ?」
「あ…。ほな、エリが戻ってきたら、おんなじの買って返そ。」
「まぁ、アイツら当分、あがってこうへんやろけどな。」
キャーキャー言いながら、腰まで浸かって遊ぶクミたちを目掛けて、後から来たヒナとマツが参戦しよった。
「エラい騒ぎや…若いなぁー。」
「いや、タケかて同い年やんか?」
「でもな。たまーに、こんな筈ちゃうかったのに!ってガックリなるんや。今日かて、クミに邪魔されたし。」
―へ?
こんな筈って?
邪魔された??
「なぁ。ソレ、塗ったろか?」
答える前に、手の中からサンオイルが消えた。
―え?
タケの手が俺の肩に触れた。
「熱い。それに、ちょっと赤うなっとる…。」
俺の肩が熱いのは。
直に日に当たってたせい、…だけやない。
けど、それがタケにバレるんが怖かった。
「ヒロ。」
「なんや?」
「先にオレに、塗って。赤くならへんように。」
―ドキン!
淡いグレーの下から現れた、白い背中に、ドキドキした。
「でもソレ、ラッシュガードやろ?脱がんかったら、焼けへんやん。」
「そやけどな。せっかくやし、ええやろ?」
微笑んだタケに、誘うような視線を向けられて、手が震えた。
「ふふっ。上手やな?」
「アホか!こんなんに、下手も上手もあるかいな。」
「そうか?ほな、次はヒロの番。」
―ヌルッ
「ぁ…た、タケっ?」
明らかに俺のソコを目掛けてタケが指を当てた。
「あ、ゴメン、ゴメン。ココは塗らん方が良かった?」
「ゃ、あの、…ちょっと動かんといて、くれ。」
「わかった。ほな、手だけで。体は動かさんようにするわ。」
パラソルの影で、タケはここぞとばかりに、俺の体に悪戯しまくって
オイルを塗り終える頃には、俺の体は下半身まで、アツくなってしもとった。
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