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第9話

海の家に戻ったら そこには、カレーを食い終わったらしいマツと、チビチビうどんを啜るヒナがおった。 「あれ?なんや2人して、もうあがっとったん?」 「ぅ、うん。」 「そやねん。ヒナちゃん、途中からお腹痛いて言うてな、そやからずっとオレとココにおってん。」 「えーっ!?」 コレには、俺もビックリやった。 お調子者のマツとも思えへん、親身な行動…。 「まぁ、そんな訳で、オレ、今からヒナちゃん、送って行くわ。」 「はあっ!?」 思わずタケと一緒に叫んでもうた。 「ヒナはそれでエエの?マツくんやなくて、私かエリが付き添おうか?」 「ううん。」 ヒナはゆっくりと首を振った。 「そっか。マツくんもう着替えてるし。一緒にご飯も食べたんやから、すぐ行けるもんな。…頼まれてくれる?」 「もちろん。そのつもりや。」 どういう事や? なんでか、マツが爽やか好青年に見える…。 「ヒナ、気を付けてね。」 「うん。」 「マツ。送りオオカミになったら、アカンで!?」 タケの言い種に 「アホか!ヒナちゃんは病人やぞ?」 珍しく、マツがマジな様子で言い返した。 「冗談やんか。ほな、またな。」 「ああ、またな。」 そんなこんなで、4人揃って、2人を見送った。 「なぁ、あの子、あんなパーカーなんて、着てたっけ?」 クミが首を傾げた。 「あー。あれはマツのやな。」 タケがニヤついた顔で答える。 「へぇえ。なーんや、マツくんて、そうやったんか~。」 「まぁ、そういうことやな。」 ニヤニヤするんをやめて、タケが真顔でクミに訊いた。 「で?ソッチは順調なんか?」 「うん、お陰様で、メッチャ順調よ。ソッチもすっかり2人の世界みたいやったけど?どないなん?」 「ソッチに負けん位、メチャメチャ順調や。」 「そうやんな?おケツにクラゲ、つけとる位やもんな~?」 「ばっ!あ、アレはやな…」 タケが何か言い掛けた瞬間、エリが真っ赤になって叫んだ。 「アカン!ソレは今ここで言うたらダメ!!」 「「えっ!?」」 俺らは、顔を見合わせた。 「と、取り敢えず、何か食べへん…?。」 ごまかすように笑ったエリの首筋には、来た時は無かった、赤い痕がくっきりとついとった。 『おしまい』

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