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4-3 ティアマット討伐

 件の家は裏の細い路地に面した小さな家だった。ドアを引きちぎる勢いで開けると、マコトの悲痛な悲鳴が聞こえる。 「いやあぁぁぁ! ユーリスさん! ユーリスさん!」  腹の底から炎が湧き出るように体が熱くなり、俺は声のする部屋のドアを開けた。そして、飛び込んできた光景に何かがキレた。  マコトはベッドヘットに両腕を括られ、裸にされて犯されていた。一人は胸を犯し、もう一人は足を抱え上げて彼の奥に汚い指をねじ込んでグチャグチャに犯している。  むせ返るマコトの匂いは強力で、より理性をそぎ落としていく。だが、そぎ落とされる方向性は違う。明らかな殺意だ。 「あ…」  濡れた黒い瞳が俺を見て、安堵の色を滲ませる。 「ユーリスさん…」  嬉しそうに、安心したように一言俺の名を呼ぶと、マコトはそのまま気を失った。 「何を、している」  怒りが収まらない。男達はマコトから離れて逃げようとしたがそれを俺が許すはずがない。  指が男達を指せばそれだけで拘束の魔法が発動する。暴れそうなほどの魔力は言葉などなくても魔法を思うように発動する。  ジタジタと拘束された二人の男が恐怖に泣き叫ぶのは、実に不快だった。  マコトがそうしても、こいつらは弄ぶように犯したのだ。無抵抗な者を踏みにじるようにしたのだ。この命乞いを聞いてやる理由なんてない。  俺は手を握るようにする。それだけで男達の拘束は強くなる。その身を引きちぎる事だって、抑制を切った俺には可能だ。広げた手が握られた時、男達の体も同じように握りつぶされる。 「ユーリス、そこまでだ!」  後ろから声がかかり、目を覆われる。途端に一瞬かかった抑圧の魔法が、俺の意識を一瞬怒りから遮断する。  男達は床に崩れ、そこを入ってきた他のギルドの奴らが取り押さえて縄で縛り上げていく。 「何をするランドルフ!」 「冷静になれ! お前があいつらを殺せば、マコトはきっと悲しむぞ!」 「!」  その言葉に、俺は冷静になった。  頭の中は未だに怒りの余波がガンガンと打ち付けるように痛みを発している。だが、胸を満たす思いのほうがよほど痛い。  俺は近づいて、マコトを抱き上げた。  触れるだけで理性が切れそうな匂い、上気した肌、苦しそうな息づかい。その彼の側に転がっている瓶の匂いを嗅いで、俺は眉根を寄せた。タネヤドシの媚薬の匂いだ。 「後はこっちで引き取る。マコト、早く中を洗って薬飲ませてやれ」  ギルマスが持ってきた毛布でマコトをくるみ、俺は抱き上げた。  どれほどに強い匂いでも、今はまったく酔えない。ただただ申し訳なくて、苦しくて、憎くて、謝りたい。  疲れ果て、それでもまだ熱を孕む体を抱きしめ、俺は宿へと戻っていった。

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