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6-2 王都到着
少しの時間をそうして過ごし、今後の方針を決めた。そうして教会の前で待っていると、随分思い悩んだ様子のマコトが出てきた。
何か、思わぬ結果だったのか。欲しいスキルがなかったのか。そんな予感がして、とても心配になる。
許されるならこのまま抱きしめてしまいたいが、それはマコトが戸惑うだろう。結局は穏やかに迎えるのが精々だった。
「どうだった?」
問えば、長く考え込んでいる。辛そうに、苦しそうに。そんな顔をしてもらいたくない。マコトには、笑っていてもらいたい。
「マコト?」
「…スキルも、なかったんだ。一生懸命調べてくれたんだけど、ダメで。なんかの間違いじゃないかって、何度か調べ直してももらって。それでも、ダメだったんだ」
それは少し衝撃だった。何かしらのスキルくらいはあると思ったのだ。
だが思う、これで特別な師について仕事を学ぶ事はない。スキルがなくても職にはつけるが、人族の国では少しやりずらいだろう。ならば、連れていく理由になる。
それにマコトの料理はスキルなどなくても美味しく、その仕事ぶりはとても丁寧だ。
「そんなに落ち込む事はない。まずは宿に行って休もう。一度に沢山あったから、疲れたんだ」
「はい…」
心配を払うように穏やかに言ったが、それでもマコトの様子は沈み込み、悲壮感さえあって心配になる。
何かを隠している、そんな予感さえして、だが何を隠しているのかは分からなくて、俺はそっとマコトを宿へと促した。
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