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11-3 赤い果実
少しだが、違和感はあった。
反応を見るにマコトは間違いなくこうした経験がない。なのに後ろは既に男を知っているように柔らかく解れ、感じている。なんともちぐはぐな感じがしている。
才能がある…と言えば、マコトはまた顔を真っ赤にして困るのだろう。
それでも、きっと俺を受け入れるには足りないだろう。すっかり煽られて硬く張り詰めてしまっている。少し恥ずかしいくらいだ。目覚めたばかりの思春期じゃあるまいし、いたいほどに腫れているなんて余裕がなさ過ぎる。
「柔らかい。だが…」
マコトが俺の高ぶりを見て、怖々と動きを止める。それを見て、俺は苦笑した。
「怖い…よな?」
「あぁ……」
今日にこだわる事はない。怖い思いや、痛い思いをさせてしまっては次もなくなる。今日は気持ちいい事だけをしたっていいはずだ。
そう理性は俺に言うのに、欲望はどうだ。欲しいとガキのように訴える。
分かっているそんな事。欲しいんだ、俺は。どれだけ時間をかけても、このままマコトを抱きたい。暴き立て、押さえつけてでも欲しいんだ。
だが、どうして出来る。愛した人が痛みに苦しみ泣き叫ぶ姿を見たいのか。切れて流れ出る血を、俺は見たいのか。それでもまだ、この行為を続けられるのか。
「大丈夫、俺のスキルの中に付属があった」
「付属?」
「えっと……あっ、拡張適応スキル! そうだ、それだ!」
逡巡する俺の腕を掴んだマコトが、必死になって言う。俺は聞いた事の無いスキルに目をパチクリとした。拡張適応? そんな夢のようなスキルがあるのか。
「えっと、安産スキルの付属スキル。どんな大きさでも傷つかないって。そのレベルも高いから、無理しても大丈夫。切れたり、傷がついたりしないから。だから、今更しないとかなし。お願い、俺は欲しい」
「マコト…」
「ユーリスさんが欲しい」
必死に言ってくるマコトの気持ちが伝わる。求められている。それが、俺の最後の迷いを消し去った。
マコトの体を倒して、奥を解す。ちぐはぐに感じたその違和感の正体が分かってすっきりとした。
俺の指を、マコトの中は柔らかく包んで締め付けてくる。その温かさ、締め付けに指だけだというのに欲情する。
多少無理をしても本当に裂けない。あっという間に指3本を飲み込み、中で大きく広げてもマコトは苦痛を訴えない。
「ユーリスさん、もっ…ほしぃ」
その訴えに、俺の理性も限界だ。指を抜き去り、擦りつけるようにあてがうと、そのまま腰を進める。飲み込んでいくそこは、難なく吸い込んでいく。
そのあまりの熱さに入れただけで俺は腰が引けた。こんな事初めてだ。まだカリまでしか入っていないのに、マコトの中は蕩けている。
ゆっくり時間をかけて奥へと押し入っていく。まるで俺の形を覚えるように、中が蠢いて時折強く絞め殺すような勢いで食いついてくる。
もしかして、イッてるのか?
薬を飲めば中が敏感になる。子種を受け入れる口が、性感帯になっている。中だけで何度だって極められる。行為の間中ずっとイキっぱなしで狂いそうだった。そんな話を聞いた事がある。
やがて、俺は根元までマコトの中に押し入った。そして、その奥にある部分を狙うように、腰を打ち付けた。
「はぁぁ!」
「マコト…」
「そこ…ダメ…」
あぁ、そんなのは俺も感じている。先端を飲み込まれるようにも感じる。吸い付かれているようにすら感じて、俺も呻く。
腰が抜ける。下手に動けばマコトを満足させる前に俺が陥落だ。流石にそんな体たらくな事にはしたくない。全体を使って、奥ばかりを突かないようにして、俺はマコトと自身を導いていく。
腕で口元を隠すマコトは、とても恥ずかしそうにしている。可愛いのに、どうして隠してしまうんだ。もっと、声を聞きたいのに。
そっと、邪魔な腕をどかした。真っ赤にして、目を潤ませて、唇が濡れている。
魅力的で困る。頼りなく濡れる欲情の瞳が、だらしなく呆けた口元が、甘く泣くその声が俺を魅了して止まない。
「隠さなくていいだろ」
「煩くない?」
「腰にくる」
実際は、感じすぎてまずいだが。
ダメだ、もう余裕もない。深く抉るようにマコトを抱き込む。やはり奥が気持ちいいらしい。苦痛もあるはずの行為を、マコトは快楽と取っている。最奥が、吸い付いて離れない。
「ここ、気持ちいいんだろ?」
「ふっ、うん!」
「ここに注ぐんだよ」
「へ?」
「さっきから、随分熱烈だ。吸い付いて離れない」
「そん…ひっ!」
知らなかったのだろう。教えたら、途端に中の感じも変わった。食い閉められて、俺は墓穴を掘ったのだと知る。言葉で責められるのも弱いのか。恥ずかしい事を教えれば、マコトはよく反応する。
「いいかな、そろそろ。これ以上は俺もダメだ」
「いぃ!」
許可ももらい、俺は少し乱暴に腰を進める。本当に少しの間だ。
マコトは白く細い体を痙攣させて果てていく。それと同時に中で搾り取られ、口で吸い上げられて俺も果てた。
飲み込まれていく、そう感じるほどにリアルなものを感じる。マコト自身は欲望を知らないのに、マコトの体は随分と快楽に貪欲だ。体に力が入らずに震えてしまう。まだ、吸い付かれている。何もかもを捧げろと言わんばかりだ。
それでも少しして、力が緩まる。軽くキスをして、見つめる瞳が未だに濡れている。
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