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11-4 赤い果実

 長く留まれば抑えられない。思って、抜き去るがほとんど溢れない。そして、マコトの体に表れた印が赤く色を付けたのを見て、俺は目を見開いた。  赤くなるのは、核が俺の子種を受けて受精し、マコトの体内に定着した証し。マコトの中に、俺の子が宿った瞬間だ。 「あれ?」 「…まさか、一回で」 「何?」  マコトはまだ自分の体に起こった変化に気づいていない。赤く色を付けた印が消えていくのを、不安そうに見つめている。 「え! あの、失敗?」  オロオロする彼を、俺は強く抱きしめた。  嬉しくてたまらない。幸せで目眩がする。これで、俺はマコトを妻とできる。何の憂いも、何の心配もしなくていい。愛しい人を、その間に産まれる子を腕に抱ける。誰がなんと言っても、マコトは俺の妻だ。もう絶対に、手放しはしない。 「成功だよ」 「え?」 「俺の精と核が結びついて、定着したんだ」 「…あ」  喜びを伝えると、マコトは真っ赤になってしまった。恥ずかしい、けれど嬉しそうでもある。  その表情には、もう母のような柔らかさがある。無意識だろう、子の宿る腹部に手を触れたマコトの笑みを、俺は至上の幸福の中で見ていた。

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