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12-4 心構え

 翌日、マコトの腹部はふっくらとしていた。  それに驚いたのか、起き抜けに可愛い声で叫んだのを聞いて俺も驚いた。  だが、僅かに感じるその膨らみに触れるだけで、俺の中には温かな優しさが満ちていった。  この状態でズボンなどは履かせられない。マコトは拒んだが、ワンピース型の下着の上にローブを着て貰う事にした。数時間単位で腹の膨らみがはっきりとしてくるのでは仕方がない。  その状態で両親に会う事を、マコトは申し訳なく思っているのだろう。どこか落ち込んでいる。  不安がお腹の子にも影響をする。本で読んだ事が心配になり、マコトに極度の緊張を与えてしまう事を恐れた俺は、万が一の場合を考えて婆にもついていてもらった。  俺の両親を前にして、マコトは緊張に震えていた。だが俺には、両親が微笑んでいるのが分かった。最初から拒む気なんてない、そんな様子だ。  それはマコトも感じたのだろう。母が手を取り言葉をかけて、安堵した様子だった。  母も実に嬉しそうだ。というよりも、既に俺よりも溺愛しそうな勢いだ。おそらく系統が似ている。母もおっとりと柔らかな空気があるのに、芯が強くて少し頑固で、有無を言わせぬ人だ。  父と目が合って、お互いに苦笑をする。これは早々に愛娘のように溺愛するんだろう。それが分かっての苦笑に思えた。  マコトと母の微笑ましい姿を見て安堵した俺は、この先に憂いなど感じる事はなかった。

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