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第2話

俺には母親が居ない。 父親の妻は居るが俺の母親ではなく、父親が居ない日を狙って俺に迫るΩのメスだ。 俺は国に管理されているスーパーΩと父親の子供だ。 必然的に俺のバースは『スーパーα』という事になる。 スーパーαはスーパーΩの次に貴重種で、国の人口比率で言えば0.5%程度しか存在しない。 普通のαでもβよりも格段に能力が高いが、スーパーαはα以上に能力が高く繁殖能力も高い。 ただし、繁殖能力が高くとも産まれた子供のバースに『スーパー』が付属する事は皆無だ。 スーパーαは男性器が非常に発育しており、なんでも上手く熟す。 スーパーαは夜のテクニックも異常に発達している者が多い。 実際、それを目当てに近づく人間も多い。 父親の妻もそうで女のΩだが、妻というより父親にとっては性交渉用のペットで、番として結んでいない。 ヒート時に父親が居なければ、俺に抱かれようと臭いフェロモンを放出しながら誘惑してくるのだ。 臭いと思っても身体は正直な物で、SEXはする。 但し、最後に避妊薬を飲み込む所まで見届けて。 そんな日々に嫌気がさしつつも、特にやめる事も無く、大学に通いながらダラダラと生きる俺に国から一枚の要請書が届く。 『柳本 創一郎(やなぎもと そういちろう)二十歳 男性 スーパーα、本国のスーパーΩ No.002との繁殖を要請します。有番と有既往症の場合のみ要請書の効力は無効です。』 頗る面倒くさい、逃げてもいいだろうか? 俺はこの胸糞悪い国の機関に嫌悪感しか無い。 いつか非合法で匿名でぶっ壊そうと考えてるくらいだ。 生物学的母であるスーパーΩの為ではない。 喜んでスーパーΩを抱きに行くαやスーパーαも嫌いだ。 俺は胸糞悪い要請書を見なかった事にして、リビングの屑かごに捨てた。 一月後、嫌でもなんでもその日はやって来る訳で、無情にも朝の九時に国から送迎の車が来てしまった。 俺はサラブレッドの種馬じゃねえ!! 断れば、俺は何処かに収容されて、Ωを抱かされるだけな未来が見える。 腹を括るしかないのだろうと、半ば諦めの境地で艶やかに黒光るイギリスの超高級車の後部シートに乗り込んだ。 ただの義務としての繁殖を済ませる為に。

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