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第14話

隆の出産は一言で表すなら、「怖かった」だ。 目は血走り、何時もの優しい眼差しは一切無い。 俺に怒鳴り散らし、まるで獣のようで「逆らったら俺死ぬ」と、本気で考えてしまった。 「創一郎、愛してるかっ!?こんな俺でも愛してるかっ!?ヒッヒッフーゥッ!!」 この声に隆の想いの深さを知る。 こんな痛くて苦しい状態でも、俺を見つめる隆。 俺は怖いと思った自分が恥ずかしい。 女性の性器よりも狭い孔から、子供をひり出すんだ。 絶叫する痛みが有って当たり前なのだ。 余裕なんか無いからこそ、本気の想いが伝わってくる。 これに応えるのが、男だ!オスだ!番だ! 「あ、当たり前だ!隆、愛してる!!ヒッ!ヒッ!フーッ!!」 「俺もだ、バカヤロォォォォオッ!!ヒッヒッフーゥッ!!」 これが隆の最後の一踏ん張り。 始めは怖いと思ってたけどこれ聞いたら、やっぱり俺の天使だと思った。 どんな時でも隆は俺の天使だ。 生まれた赤ちゃんの胎盤を除去したり、身長を測って体重を計り終え、隆の腕に赤ちゃんが抱かれるまで、隆がパニックで大変だった。 施設で何かトラウマがあるのだろう。 俺たちはまだまだ話した回数が少ない。 「俺の、俺の赤ちゃんっ!!やっと抱けた!生まれてくれてありがとっ、、」 隆の母親として我が子に初めて送った言葉を聞いて、俺は泣いてしまった。 俺は、俺たちαやスーパーα、そして国はとんでもない馬鹿だ。 何故、こんなにも尊い光景を大切にして来なかった。 スーパーΩだけでなく、Ωや女性に対してもだ。 守るべきはスーパーαではない。 その胎内で命懸けで子を育む者達だ。 俺は何が何でも、この二人を守る。 新しいマザーコンピュータ、俺より凄いハッカー? そんなもの、この二人を失う事に比べたら、屁でもねえっ! 隆を奪いに来るのなら、全力で迎え撃つ。 俺はスーパーαで番を守る者だからだ。 番を守る為なら、どれだけだって賢く強くなってみせる。 その為のスーパーαバースだ。

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