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第5話 敗走の平凡
優太は目の前で静かに閉じられたドアを暫く見つめた。
それから中で再び何やらガタゴトと始まった音を耳にすると、一気に全身に血が巡るりだした。
俺、何を見たんだ⁉
ネットの広告で見かけたことがある、エロマンガの男女と同じことをやっていた。
と、いうことは…?
あれは所謂、セッ…。
「え、え、え、…って」
この何処にもやれない複雑な気持ちをどうしたらいいのか。
「うわぁぁぁーっ‼‼‼」
優太は思わず叫びながらフロアを全力で走り抜け、体育館を後にした。
げっそりと一気にヤツれた優太は、フラフラしながら中庭へとやって来た。
キョロキョロと見回し、隅の空いているベンチへと腰を降ろした。
昼下がり。
周りのベンチでは、女子生徒や交際中と思わしき男女が楽しそうに各々過ごしていた。
そんな中をぼんやりと座って溜め息を溢す。
平凡とはいえエッチに興味のあるお年頃。
けれど優太の知っている性知識など、たかだか知れている。
AVなんて観たこともないし、エロ本なんてクラスの男子が話していたのを小耳に挟む程度だ。
そんな優太がイキナリあんな濡れ場を目撃したのだから、衝撃もかなりの物だった。
あれは確かに下半身が繋がっていた。
しっかりとは、見えなかったが状況からしてそうだろう。
「信じられない…ううっ」
思い出したら、またまた顔が真っ赤に茹で上がる。
湯気が出そうな勢いに、天を仰いでから俯くと顔を両手で隠した。
『お子様にはまだ早い』
本当にその通りだ。
優太はガックリと項垂れた。
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