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第7話 思い出して憤る

そんなどうでも良い出会いを思い出した。 本当に、どうでもいい。 とにかく過去の甘凱もイケメンなのだ。 そして一年が経つと、益々男らしい色気が出てきて…。 「ぐっ、はわぁぅ‼」 再び優太はひとり悶絶して、顔を両手で覆うと項垂れた。 一瞬忘れていたことが有り得ないことに、先程の様子が脳裏に甦ったのだ。 「ううっ、脳みそヤられる~ぅ‼」 女は後頭部しか見えなかったが、スカートから覗く白い太股が頭から離れない。 それはもちろんのこと、優太にとっては顔を上げた甘凱の情事の後の艶っぽい顔と吐息の方が毒だ。 そして余裕綽々で優太の遥か天上から見下ろすかの様なあの発言。 あの表情。 『お子様にはまだ早い』 嘲笑うかの様な、野良犬をシッシッと追い払うかのごとき扱い。 爽やかなイケメンだと思い込んでいたのが、まるっきりイヤミなやつではないか‼ 騙された‼ そんな甘凱の顔と、いちいちそんな男を思い出す自分が憎らしい。 「う~っ、もうあんなヤツ知らん‼」 元々知り合いでも何でもない。 クラスも違えば会話すらしたことがない。 優太はその事実に改めて気がつき、何だか自分ばかり意識している事に、ひとりムムッと憤りベンチを立った。

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