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第17話 小動物な平凡
「うぜぇ」
甘凱が冷めた目で優太を見た。
「うっ…」
とはいえ、性格は最悪だと知った今では一瞬も一瞬ではあるが。
言葉に完全に詰まってしまった優太は、視線を甘凱から外した。
映る視界の中では、甘凱がサッサと優太の上から体を退けているところだった。
「チッ」
大きな舌打ちが聞こえ、甘凱はその場を去っていくかと思い優太はそのまま視線を上げずにいた。
甘凱の顔を見るのが怖かったからだ。
すると去っていく足音は聞こえず、代わりに気配を側に感じた。
甘い爽やかな香りが鼻孔を擽る。
「…おい」
「…」
「呼んでんだよ、返事しろ」
「…?」
明らかに自分を呼ばれ、不思議に思いながら怖々と顔を上げると、そこには甘凱が居た。
「返事も出来ないのか?…この怪我どうした?」
心底面倒くさそうに甘凱が問いかけるので、益々萎縮してしまう。
確かに優太は、どんくさいし決して明るいお調子者タイプではない。
とはいえ、こんなにオドオド、ビクビクするキャラではない。
けれど、この甘凱という男に対しては何故か小動物の様になってしまう。
「イターーーーーーッ‼⁉」
優太は、次の瞬間悲鳴を上げた。
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