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第20話 お姫様になる

「うひゃぁっ⁉」 地面にあった視線があっという間に空中へと出されて、その浮遊感に一瞬息が止まりそうになった。 情けない声を上げた優太に頭上から、不機嫌な声が降ってきた。 「黙ってろ。不愉快な声出すな」 チラリと顔を向けると、そこには下の角度から見ても文句なく整った甘凱の顔があった。 「って、えっ⁉ちょ、おろ、降ろして‼」 どう考えても甘凱に、いわゆるお姫様抱っこをされている。 「降りる!降りる‼」 「暴れんなっ‼」 ゴンッ 慌てて降りようと体を動かすと、怒鳴られた挙げ句に頭突きが額へとお見舞いされる。 「痛ぁ~いぃっ‼」 「っ‼」 痛みに情けない顔に目から涙が一粒な優太は、額へ両手を当てた。 頭突きを食らわしてきた甘凱も、痛かったらしく眉間に皺を寄せて数秒目を閉じていた。 「落ちるから暴れるな、重いから動くなバカ」 額を押さえる手の間から甘凱を見上げる。 すると甘凱は自分を見ていて、その目があまりにも恐ろしく優太は青い顔でコクコクと素直に頷いた。 優太が頷いたのを確認すると、甘凱は重さを感じていないかのようにスタスタと歩き出す。 抱かれたままで手の置き所に困って胸の前に置いていたが、いざ歩き出されると不安定で落とされそうな怖さがあった。 優太は戸惑いながらも、ソッと甘凱の胸元を掴んだ。

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