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(memo-1)

(※只のネタメモです。脈絡もオチもありません) 「な、本当、俺を蔑んどけば良いみたいな風潮。あのスタイルは誰が作ったんですかね」 「きたきたきた…宮子の限定コスってこれかーい…おおスクショ、スクショ止まんねえわ全然止まんねえわ!」 「聞けよ」 萱島は滾る班長代表の社員証を引っ手繰ろうとしたが、すんなり身を捩って躱された。 今朝から飽きずに画面を見詰め、でれでれでれでれしている。 終日この状態だ。 発売日の彼は基本的にぶっ壊れていた。 「しょーうがないでしょうよ、俺今日有給取ってたのに会社来たんですもん」 「お前1日ゲームしてただろ」 「やーだぁー、見てたんですかぁ?ほんっとエッチなんだからぁー…ふふふ」 ぐだっと背もたれにしなだれ、そんなとろっとろの笑顔で言われたらもう怒るに怒れなかった。 そもそも此処が彼の彼たる所以だが、完全なマルチタスクを所持している為に全て同時並行で憚りなく仕事もこなしていた。 上司は繕って腕を束ね、憮然と眉を寄せた。 「苦情が来てるんですよ」 「どうしたんですか?」 「牧君が可愛過ぎますって」 「えへへ」 何その力の抜ける笑い方。 首を傾けた。どうしよう。 それから一切の思考を二次元へ持って行こうとする牧の、首にぶら下がった物を今度こそ引っ掴んだ。 (エロゲニスト班長) 居間の端から端までが30メートル近い家とは。 家、の概念に当て嵌めて結構なのだろうか。 邸、邸宅。マンション故しっくり来ない。 そもそも根本の立地は最悪で、階下では日中頭の悪いビデオばかり撮っている。そんな高尚な名を付けたくはない。 「キー…キルル」 だから馬鹿みたいにでかい鷲が歩いていようが、「鷲が歩いてるんですねふーん」で取り上げもしない。 さして妙でない。 寧ろ馴染んでいる。 「ご飯?」 神崎が本から面を上げた。地べたから鳥が覗き込んでいる。 ずずーっと態と音を立て、萱島は中身の無い飲料のストローを吸った。 「……」 猛禽類だろうが、鳥類の目は存外に可愛い。 くるくる頻りに回って、それに付随して小首をかしげるのだ。 長い指先が頭を擽る。 鷲は従順に受け、両目を瞬いた。 (…バーベキューにしてやろうか) 一連を物騒な目つきで睨む人間が居た。 大人気など持ち合わせていない、でかい子供が先から嫉妬に禍々しい邪気を放っていた。 (社長と沙南ちゃんとパティのあほな三角関係) 妨害がないからうっかり睡魔に身を委ねてしまった。 シートに身体を投げ出して、萱島は頻りに目を瞬いた。 何分寝ていたのだろう。 スピードの加減にも惑わされぬ車体は、最高の揺り籠だった。 これだから高い車は素晴らしい。まあ加えて、それを熟(こな)れて動かす男も素晴らしい。 「――何、じゃあ結局0.01の差はねえのかよ」 「な」 不明瞭な意識に会話が流れ込む。 首を擡げて前を見た。どうやら責任者2人が、相変わらずふわっとした雑談を広げていた。 「元々鈍感な器官なんだろ。あのほら、妙な形状したアレ…何だっけ」 「ドット?」 「そう、それとかな。意味ないらしい。知り合いに聞いた」 萱島はごとりと首を傾けた。 文章を追ってもまるで話材に辿り着けない。 罵り合いを止めたと思ったら、何を話しているのか。 「そもそも本来の目的を極めろよ」 「あん?お前は使わんから今に至るんだろ」 「その話してねえんだよ糞野郎」 ガンッ。 結局温い応酬に発展した会話を、小さな衝撃が割った。 萱島が後ろから運転席を蹴りつけたのだ。 信号待ちの傍ら、神崎が憮然と其方を振り返った。 「何?おはよう」 「…ちょっと」 「ん?」 「人が寝てる間、ずっとそんなげっすい下ネタ喋ってたんですか」 「何が下衆いんだよ保体だろ」 「保体にゴムの種類まで載ってませんよ…!」 (社長と副社長は2人きりだと、わりと低俗な会話をしている)

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