20 / 46

ring

※また物凄くちょろっと(導入のみ) ※本郷さんがさなちゃんにちょっとやらしいことしてます。本 郷 さ ん です、ご注意。 視線を感知した。 時は既に遅く、立ち上がる萱島の目に彼が映る。 「何してる」 決して憤るでもなく、柔らかい音に、それでも萱島の血液が一気に下落する。 見られていた。 彼の、本郷の部屋へ勝手に立ち入った自分。引き出しの中で目の当たりにした証を、理由も分からず奪った浅はかな自分。 「後ろに何持ってる?」 「な、なにも」 言い訳は昔から下手だった。 床を向き、不可思議に後ろ手を組む。冷たい金属の感触が、途方も無く恨めしかった。握り潰してしまいたい。 もう意味はないと知りつつ、その輪が跡形なく壊れるまで。 (怒っている) 当たり前だ。我ながら訳の分からない行動に、血の巡りだけが五月蝿い。 睨まれている。本郷が、怒った例など知らないだけに異様に慄いている。 「なら手出してみ」 萱島は、動けない。勝手に指輪を盗ったのだから。 未だ大事に持っていた、その事実に驚愕して剥ぎとったのだから。 「……」 返せば良いのに。今ごめんなさいと言えば、それで済むのに。 抵抗して俯いていたら、何時の間にか彼は間近に迫っていた。 過去最悪の空気に息を呑む。それで、肩に触れた手に震えた。 腕を伝い、ゆっくりと長い指が萱島の手を包んだ。何時も自分を溶かす温かい温度。 然れど頑なに手を握り締め、防衛を固める。 「なあ、どうしてそんな物盗ったんだ」 「何、のこと」 「捨てるつもりだったんだ、もう」 とっくに見ずとも中身はバレている。罪を隠蔽する萱島の声が、如実に揺らぎ始めた。 「…嘘だ」 「萱島」 「ちがうよ、未だ好きなんだよ」 男の恋愛は別名保存、とは言い得て妙だ。こんな誓いを持っている限り、余計に忘れられない癖に。 だがそうだとして、萱島には何の関係もない。 本郷が彼女を未だ愛してようが、別の誰かと関係を築こうが、自分には口を出す権利なんて何も。 「返してくれ」 今度ははっきり要求した。 萱島は面を上げ、露骨に感情を乗せて睨め付けた。熱に潤む。 いつ何時も格好良く、理性を湛えた綺麗な目。左右の色が少し異なる宝石。 何故誰彼構わず優しくして。いっそ怒って、珍しい攻撃を向けて欲しい。自分だって特別がいい。 勝手だ、こんな。 「おい」 かたかたと両手はぶれていた。必死に視線だけは立ち向かって、原因不明の衝動で縋り付いていた。 「…何て目で見てんだ、お前」 その意味を解せない。止まった萱島の背が、突然近く引き寄せられた。 ぶつかる身体に驚く。刹那の間に、ゆっくりと唇を塞がれた。 息が。 柔らかく、本当にくっつけるだけの。角度を変え、慈しむだけの。 感触や熱を伝え、そっと離れ。視線が絡み、それでまたふわりと抱き竦めて。 そんな触れるだけの行為で、萱島の体内は次々と異常を来す。 懸命に身体に縋って、呼吸の仕方も忘れる。中枢から震えて、ほんの些少、唇を掠めた舌に崩れ落ちそうになった。 「っふ、…ぅ」 何処までも上手な相手に支えられ、気づけば手中の指輪も取り返されていた。 失くした感触に眉根が寄る。 やっと距離を取った、本郷の目が瞬きもせず直視していた。 心臓が突かれた。 萱島の知らない、欲を求める男の目が見ていた。いつもの保護者の形もない、明確な熱を孕んだ。 「俺の指輪を盗って、それで…どうする気だった」 初めて聞く艶に滲んだ低音。幾度も頭を撫でた大きな手が腰を這い、別な意図を含んで辺りをさすった。 そのいやらしさに血が上る。耐え切れず止めようとした所で、萱島にはびくともしなかった。 「ぁ、…、ほ、本郷さん」 「何」 「へ、っ変にさわるの…やめて」 また泣きそうだ。否、違う。いつも外野に泣かされるだけで。 彼には、一切追い詰められた例などなかったのに。 「は、…ぁ」 さっきから身体の線を撫でているだけだ。背なの曲線だとか、脇腹から腰に掛けてのくびれだとか。 ダイレクトに局所を触る訳でもない、擽る手つきが全身の熱を炙り出し、立つことすら辛くしがみついた。 「こんな事されないと思ってたろ」 頭がついていかない。但し視覚で、聴覚でまざまざと教えられる。 今手を出しているのは本郷だ。他の誰でもない。 「するよ。俺は遥と違って、お前を子どもだなんて考えてないからな」 (未完) 半端ものばかり申し訳御座いません。 需要があれば続編…大丈夫、これは犯罪じゃない。犯罪じゃないぞ~^^(STOP!不純性交遊)

ともだちにシェアしよう!