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第3話 保いじり

「君は恋の病にかかっているね!」 「そういうの間に合ってます! 帰ってください」  僕はそっぽを向きドアを締めた。面倒なセールス基、クラスメートの保からのからかいにムッとする僕。教室に入ると同時に言われたので自然と、ドアを『バンッ』と閉める。 「侑汰! ごめん、嘘だって。俺の愛を受け取ってくれよー」 「帰れ……。君の押し売りの愛なんて弁当だけで結構だ」  保の席に座り、彼の弁当をおもむろに取り出し食べる。そういえば、僕、ご飯まだだった。朝抜いてきたんだったちょうどいいや。 「俺の弁当食うなぁあああ!」 「ほら」  僕は百円玉を握らせると早弁ならぬ朝弁を終える。 「鬼、アクマ、閻魔大王!」  涙目の保を背に僕は彼の後ろの席に座る。ここが僕の席。窓際の一番後ろ。  寝るにはうってつけの場所だけど、 僕は勉学をするために通ってるとかはいわない。つまんない授業は寝る! これに限る。 「保の顔うざい。こっちみんな」 「お前なぁ……俺お手製の弁当までくっておいてその言いよう。鬼としか言えないぜ。そんなことより、どうしたんだ? ここ」  顔が赤くなるのを隠す僕。 「葉桜先生か!? この可愛い絆創膏。そういう匂いがする!」 「あほ! 散れ!」  聞きたくない名前を聞いた僕は途端に、涙がぽろりとでてしまった。 「痛いのかぁ? よしよし、お弁当はくれてやろう。だから泣くな?」  ちょろい奴だ。でもなんで涙なんて出たんだろう。 「保、明日も弁当よろしく頼む。じゃないと泣くぞ!」  保は『ッゲゲ』とした顔をした。嫌なのか? 嫌なのだろうか? 哀しい……。 「保のバカ!」 「なにぉぅ!」  保は条件反射のように歯向かってくるから僕は目に手を当てる。 「保君! 侑君いじめ良くないよー!」  女子もちょろい。顔のいい僕は得をしている。僕は泣き顔を作って女子に言う。 「保が僕を責めるんだ。ただ、お弁当を食べたいだけなのに、でも、食べた事は許してくれたのに、またこういう目で見てくるんだ。どう思う?」 「侑君可哀想でしょー。保謝りなよー」 「保はノリがいいとこだけがいいとこなのに、ノリ悪いのかっこ悪いよ」  そうだそうだと周りの女子がいうけれど、知っているこいつの良さを。だからからかって遊ぶのもいいじゃないか。だって、暇なんだ。

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