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第6話 え? 僕の能力?
「僕態度悪いですか?」
「悪いっていうかノリが悪ぃな。それを打ち消してしまうほどの能力は持ってからファンはついてきてるんだろうけどさ」
「能力?」
ちんぷんかんぷん。僕にどんな能力があるっていうんだろう。
僕の大好きなリズさんが言ってるんだから参考になることを聞こうと思って問うと。
『一人だけ別格に演奏がうまい』と言われた。
僕の喜びにつながった。だって苦労が報われてる。それだけで嬉しいのにこうもつけたしてくれるんだから!
「世界でこれだけの表現力持ってんのってそうそういないと思うぜ? 音がお前の周りをくるくる回ってんの。きっと天上まで届いてるぜ? クラシックの神に愛されてるんじゃねーの?」
僕、セクハラ受けてもあの先生についてよかった。セクハラさせないために、僕はうまくなってやるって思ってるから成せた技なのかなぁ?
どんどん上向きに書き換えられる僕の精神。
だめなんかじゃなかったんだって。
ファンの声に耳を傾けるのもいいものなんだなぁと思った。
一部のだけどね。
「俺んとこの舍弟も氷雨(おまえ)に夢中なやつ多いけど、みんな盲目なんだよな。加えていうなら演奏がうますぎて引き込まれて、笑顔を見せてくれない氷雨様でも好きでいられるって」
僕ってそんなに無愛想だったのか。
考えなおさなくちゃ……。
リズさんの事信頼できる人って思えてならなくて、好きです」
つい上目遣いで聞いてしまう僕。
すると、顔を手で覆って赤くなってるリズさん。どうしたんだろう?
酔ったかな?
「あの、酔いました? 大丈夫ですか?」
「っねーよ」
「え?」
よく聞こえない。
「そうじゃねーって。上目遣いで見んなよ。可愛い事も声も、顔も全部愛しく感じちまうじゃねーか」
「え!? その? ごめんなさい?」
よくわからないけど良くないらしい。
どういうことだろう?
「しかも天然のたらしの才能あるなんて、持ってんじゃん輝くもん。いいぜ。お前の信用俺が受けてやるよ」
「信用って嫌いです。信頼のほうがいいです! 頼ってるんですって!」
信じて用いると信じて頼るとじゃ違うから。
「お前超可愛い! ツボった。今日はお持ち帰りだ。明日は何かあるか?」
「明日はオフですけれども」
「ゲームしようぜ!」
目がキラキラな僕。僕のゲーム好きを知っての狼藉かぁぁああ!
僕がキラキラとした雰囲気を身にまとっているのに気づくと同族というヤツだと気づいたらしく、手を握って『オールだ!』と打ち解けあった。
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