「ここ座ってて下さい。飲み物何にもなくって、あ、飲み直しません？？」 水曜日。いや、とっくに日付けは変わっているので木曜日か。 夜の10時に会う約束をした。 1分でも遅れてはまずいと思い 落ち着かない胸をなんとか抑えながらいつもより熱心に仕事に取り組んだ。 その甲斐があって本日は残業無し、余裕を持って来店することができた。 店に入ると店員さんが 予約頂いてますと個室に案内してくれた。 しかし暫く待っても清水時春は、現れない。 何かあったのだろうか、いや、そもそも俺は約束なんてしたのだろうか。 余計なことを考えながら 店長のだし巻き卵を食べていると慌ただしく男の人が個室に入ってきた。 「清水時春。」 うん。知ってる。 分かっているのだが、やはり目の前にするとどうしても口に出してしまう。 「遅くなってごめんなさい」