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ラストタイム・ラバーズ 05

 突然の提案に理解が追いつかず、きょとんとする。 ラバ―ズに誕生日の設定なんてあっただろうか。 少なくとも“イブ”にはない。 「シブタニ、僕には誕生日は設定されてないよ」 「設定っていうか……あるよね、実際に。廃棄の予定が製造年月日から丸三年って言われて泣きべそかいてたのは、どこの誰かなぁ?」 「へっ、あ、そそそうだけど、おかしな言い方しないでよ!」  にひひとシブタニが白い歯をのぞかせる。楽しそうな笑顔に毒気を抜かれ、僕もつられて口元が緩んだ。  ――そっか。製造年月日が人間でいうところの誕生日みたいなものなんだ。 「あれからずっとバタバタしてて、イブの製造月日から二ヶ月も遅れちゃったけど、二人ですごせる初めての誕生日なんだからお祝いさせてほしいな。なにかプレゼントを贈りたいんだけど、欲しい物ある?」 「ほ、欲しい物?」 「そう。なんでもいいから言ってみて」  せっかくシブタニが気を回してくれたのに、考えれば考えるほど、頭の中が真っ白い霧に覆われる。 欲しい物なんてなにも浮かんでこない。  ラバ―ズはベッド以外でなにかを欲しがることを許されていないため、プレゼントという概念がひどく遠いもののように感じられて、喉元がぐっと詰まった。

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