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ラストタイム・ラバーズ 13

 人魚姫は王子様の命を救ってから消えたのに、それすらできない自分は、人魚姫と一緒なんかじゃなかった。 瞳から水分がぽろぽろとこぼれ落ちる。 真珠にもならない雫は、顎を伝って地面に丸い染みを作った。 『初めての誕生日なんだからお祝いさせてほしいな。なにかプレゼントを贈りたいんだけど、欲しい物ある?』  記憶の中で一際輝くシブタニの声を再生する。  最後だからあんなことを言ってくれたのかもしれない。 でも、僕は人魚姫よりずっとわがままだったみたいだ。 ――僕の欲しいもの、決まった。  シブタニの家に連れて行ってもらったばかりだから、今夜はここでスリープすることになるだろうと、相変わらず遠くから自分を見下ろしている感覚のまま、僕は早々に省エネモードへと切り替えた。

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