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ラストタイム・ラバーズ 14
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三日後の土曜日、リビングのソファでゆったりとした朝を満喫しながら、シブタニが口を開いた。
「イブ、欲しいもの決まった? 今日は一緒に買いにいこう。あ、物じゃないパターンもあるか」
にこにこと、作り物より整った綺麗な顔を思い切り崩して、シブタニが笑う。
その表情を見るだけでどれほど僕が幸せな気持ちになれるか、彼は知らないだろう。
本来なら相手をいい気分にさせるのはラバーズの役目なのに、貰うばかりでなに一つ返せなかったのが心残りだ。
その『心』も、人間から見ればプログラムの集合体でしかないけれど。
「シブタニ、僕はずっとシブタニと繋がっていたい」
「ええ? なぁにそんな可愛いこと言ってぇー。……ん? あれ、もしかしてエッチな意味だった?」
「ち、ちが……っ」
シブタニがにやにやとからかってくる。
違う、と言いかけ、いや確かにずっと欲しかったものではあるけれど……と思い直して口を噤んだ。
しかしそれは、自分をそういう目で見ていない相手に願うべき内容ではない。
そもそも僕の所有者はLLであり、ラバーズがマスター以外に性行為を求めることは許されていないのだ。
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