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ラストタイム・ラバーズ 20

 ふるふると首を横に振る。 廃棄されることばかり心配していた自分とは大違いで、シブタニは二人の未来について真剣に考え、実際に動いてくれていたのだと知り、胸がいっぱいになった。 「シブタニ……僕はラバーズなんだよ……」 「う、うん? 知ってるよ」 「は、はしたないって思われるかもしれないけど……シブタニのこと大好きって思えば思うほど、シブタニが欲しくてたまらくなるんだ。今が、それ……」 「えっ!」  どうしていいかわからないくらい体の中が甘く疼いて、けれどどうにもできずシブタニにしがみつく。 「シブタニ、好き。好き。……好きってこんなに苦しいの」  ぎゅうぎゅうと腕に力をこめながら、シブタニの肩に額をぐりぐりする。 ひとしきりそうしてから、潤んだ黒目がちな瞳を向けると、シブタニが眉間に何本も皺を寄せて、ぐぬううと唸った。 「ねえ、もう、まだなのに、まだ抱けないのに、その顔反則でしょ! こんなにほっぺた真っ赤にして、子犬みたいに目をうるうるさせて、可愛い声で好き、欲しいなんて言われたら、ちょっともうやばいから……っ!」

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