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第39話
「やっぱり帰った方が良かったかな・・・・」
ひとりごとを言うと目を開いた。
カラオケ抜け出して柴田と中島さんをくっつける気でいたけど、考えたら俺のおせっかいで・・・。
あの二人がいい感じになるかどうかはわからない。
中島さんは俺の事を好きになっちゃったんだもんな・・・・。
男と女ってわからないな。
桑田さんと桂も、・・・・・・。
いい感じに見えたのに、別れちゃったらしいし・・・・。
桂がフラれた感じ?!
アイツ、あの娘に手出しできなかったんだな。
そう言えば、前に見た時も桑田さんの方から桂の手を繋ぎにいってたっけ・・・。
なに?!・・・純情系?!
・・・俺にはあんなチューしたくせにさ。
未だにあの感触は覚えている。
おかげで俺は自分の口に指を入れるクセがついちゃったし・・・。
色々考えていたら気持ちも落ち着いたのか、俺はソファーから起き上がると勝手に冷蔵庫を開けて物色し始める。
中にはいろいろな飲み物が入っていて、暇だし、適当に飲んだことのないものを開けてみようと思った。
ピンク色のソーダが入った瓶があって、それを開けるとガラスのコップに注ぐ。
シュワーって音で、きれいな泡がコップの中で弾けた。
一口飲むと、意外とウマイ。
ジュースにしてはまったりとした感じ。飲み込むときに、少しだけ喉がシュワって焼けるけど・・・。
天野さんを待つ間、走って喉が渇いた事もあって、俺は全部飲んでしまった。
しばらくすると身体が熱くなって、取り敢えずジャケットを脱いで椅子の背に掛けたけど、ついでに靴下も脱いでしまった。
はぁ~~~
退屈だな・・・・・。
誰かスタッフは来ないのかな。
時計を見ると7時をまわっている。
美容室は7時までだから、もうすぐ天野さんも上がって来るかな・・・・?!
そんな事を思い乍ら、いつの間にか俺の意識は飛んでいた。
・・・突然、ふわ~っとカラダが浮いた感じがして、目を開けなくちゃ、と思いながらも閉じたまま身を任せる。
いつかの感じだ・・・・・抱えられているのかな・・・・・
少し弾力のある所に身体を横たえた気がして、そのまま足を伸ばす。
顔に息がかかると、俺はそっと瞼を開いた。
「・・・天野、さん?・・・」
じっと目を見つめられて、瞬きも出来ない程。
でも、瞳の奥は熱を帯びていて、今にも俺にキスをしてきそうだった。
俺は腕を伸ばすと、天野さんの首に回して抱きつく。
「未成年のくせに、酒なんか飲んで・・・。っていっても、オレが置きっぱなしにしていたんだけどな。」
「酒?・・・あぁ、そうか・・・それで?!」
「トモダチと遊んでたんだろ?どうしてここへ来た?!」
天野さんが俺の頬を指でなぞる様にして聞く。
「分かんない。・・・あの女の人どうしたの?帰った?」
「あの女性はクラブで働いているお客さん。同伴出勤頼まれたからさ。・・・これでも営業のつもりだ。」
- ああ、同伴・・・て、何処かで聞いたような気が・・・。
「一杯だけ酒に付き合って戻ってみれば、少年がゆでダコみたいに真っ赤になって机に突っ伏してるし・・・。」
「俺?・・・そうか、酔っぱらって意識が飛んじゃった・・・。」
ずっと首にしがみ付いてしゃべっていたから、さすがに疲れたのか、天野さんは俺の胸に顔を沈めた。
「千早くん・・・、あんまりオレを煽らないでくれよ。酒も少し入って回っているんだ、セーブがきかなくなる。」
そういうと、俺のシャツをたくし上げて腹にキスをしてきた。
「セーブって、なんで?」
「一応、千早くん未成年だから。最後まではできないだろ。」
天野さんはそんな風に考えていたんだ・・・。
どうして俺の中に入って来ないのか不思議だった。
いつも俺ばっかり気持ちが良くて、最後は二人で扱いて果てるけど、そういうのがいいのかと思っていたんだ。
「天野さんは俺を抱きたい?」胸元に目を落として聞いてみる。
「そりゃあね、でも、オレは男とするなら挿れられたい方なんだよね。千早くん、挿れてみる?」
「・・・・・・。」
ドキッとした。
てっきり俺がそっち側になるものだと思っていたから・・・・・・・。
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