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第40話 

 しばらくの間、互いの目を見つめ合った俺たち。 ドラマのワンシーンなら、ここで音楽の入るところだ。 でも、現実は・・・・・ 「俺、そういうの分かんなくて・・・・。」 「え?・・・ああ、童貞だから?!」 「・・・・・そんなにはっきり言われると・・・・。」 天野さんには知られている事だけど、高校生になって童貞の男がどれだけいるのかわからない。その中に俺も入っちゃってるんだよな・・・・。 知らない奴達からは、俺、相当遊んでると思われてるらしくて。 でも、実は女が苦手だし、男の方が自然に思えるんだ。肌を寄せる事に抵抗はなかった。 「酒飲んでるから、オレはここに泊まるけど、千早くんはどうする?!家に帰るか?」 「なら、俺もここに泊まる。家には電話入れておくから・・・。柴田のとこに泊まるって言っとくよ。前に泊った事あるし。」 こう頻繁に天野さんの家に泊まっていたら、母親に叱られそうだった。 お店のお客さんでもあるこの人には、母親も気を使っているんだ。 息子が変な事をしでかさないかとヒヤヒヤしているんじゃないかな・・・。 「先にシャワー浴びておいで。オレは奥の部屋をかたずけてくるから。」 「う、ん・・・。」 - - -  天野さんに促されて風呂場へ行くと、バスタブの淵にはきれいな色とりどりのキャンドルが立ててあって、雑誌に出てくるようなオシャレで癒される空間に仕上がっていた。 ここでゆったりと風呂に浸かっているのかな・・・なんて、天野さんの入浴シーンを想像する。 俺とは住む世界の違う人。 大人で、経営者で、昨夜の様なクラブの女の人とも付き合える人。 多分金持ちだし・・・・。 シャワーを捻って頭から熱い湯を浴びると、酔いも冷める。 俺みたいなホモのガキを相手にしてくれるなんて、ホント、申し訳ない。でも、俺は天野さんが好きなんだ。 多分・・・。だからこうして、後を追ってしまったんじゃないのか?! あの女性に邪魔されるのがイヤで。 濡れた身体をバスタオルで拭くと、そこに置かれていたバスローブを羽織った。 「天野さん・・・?!」 声をかけながら奥の部屋へと行く。 少し隙間の空いた部屋から「こっち。」という声がした。 ドアを開けると、そこにはセミダブルのベッドが一つ。 天野さんの自宅で、キングサイズのベッドを見ている俺は、そこがすごく狭いと感じてしまう。 「二人で寝られるかな・・・?」 俺が聞くと「大丈夫、・・・だと思うよ。」と笑った。 「じゃあ、オレもシャワーしてくるから、待ってて。」 「うん。」 天野さんを待つ間、ドライヤーで髪の毛を乾かしつつ、これから先の事を想像したりした。 いつもは俺がされている事。 今日は、アレを天野さんにするって事かな・・・・?! ちょっとソワソワしながらも、何処かで期待している自分が可笑しかった。

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