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第104話 *
いつもより明るいゲイバーの照明の下で、3人の男が肉を貪る。
店内に充満したニンニク入りのソースが香ばしい香りを放つと、まだまだ肉は食えそうだった。が、流石にステーキ2枚分をすでに平らげたので、やめておく。
「ふぅ、食ったな~」
「これで半年は持つかな?!」
俺が腹をさすりながら言う。
すると、隣にいたはじめママが俺の腹に手を伸ばしてきた。
「若者がなに言ってんの!!もっとガツガツ食いなさいよ!そんな細っこい身体で・・・。ちゃんと食べてんの?実家に戻ったらいいのに。」
一通り俺を心配した言葉を掛けると、「まぁ、あの家がチハヤくんの居場所になってるんだろうけど・・・」と笑ったママ。
「居場所、ねぇ・・・・。そうなのかな、俺が生まれ育った家じゃないのに・・・、変だよね?!」
グラスに残ったビールに口を付けるとママに言うが、ママも天野さんも返事はしなかった。
ちょっとだけ肩を落とした俺の背中をママがそっとさすってくれる。
一通りの片づけをした後で、俺はママの店を後にしたが、天野さんは残ってまだ飲む様で。
あの二人の関係はいまだに謎。とはいっても、互いに心を許せる相手である事には違いがなかった。
少し酔いを醒ましてから、シャワーを浴びようと風呂場へ向かう。
洗面所の前でシャツを脱ぐと洗濯機に放り込んだ。
ふと、鏡に映る自分の身体に目をやる。
一応3食は食べているつもりなのに、うっすらとあばらには骨が浮き出ていた。
その線を指でなぞる。
一瞬、俺の脳裏に桂の指の感触が蘇った。
仕事を初めて力仕事も増えたのか、ごつく力強い桂の手が俺の胸を撫でる時、時折立てる指の先が俺に刺激を与えてくれた。
鏡の中の自分の胸に触れると目を閉じた。
頭の中に桂の高揚した顔を思い浮かべると、俺の息遣いも自然にあがってくる。
.......ぁ、.........
そういえば、桂がここを離れてからは性的な欲求がないままだったな。
きっと、何処かでそういう衝動には蓋をしていたんだろう。
でないと益々寂しくなるから.......。
ベルトに手をかけて、ジーンズを下着ごと降ろせば、少しだけ反応を始めた俺のもの。
そこに手を伸ばす。
まだ柔いものを握り、片手でフニフニと揉んでみる。
そうしながら少しだけ目を開ければ、鏡の中の俺の目には憂いをおびた光が宿ってきた。
.......かつら、.........
洗面所の壁にもたれると、鏡に映る自分の姿を見ながら指を這わせた。
意識の中では、その指は桂のもので、俺の身体をくまなくなぞる。
自然と腰も浮いてきて、臀部にキュッと力を込めれば俺のものもそそり立つ。
それでも、まだ扱く気にはなれず、身体全体で桂の指の感触を思い出したかった。
.....はぁ、.........ぁ.........
堪らなくなって、自分のそそり立つ物をギュっと握ると、ゆっくり上下に扱いていく。
既に蜜は溢れていて、ヌチヌチと淫猥な音が洗面所に響くと、俺の興奮も最高潮になった。
あっ、....あ、........ あっ、あっ、ン..................
押さえた指の間から、溢れる白濁をじっと眺める。
起伏する腹の下でヒクついたものは、いつまでも萎える事がないまま、次の刺激を待っているようだった。
俺は、白濁をそっと自分の後ろに塗り込んだ。
窄まりは固く閉ざされていたが、指を差し込めばすぐに感覚は研ぎ澄まされる。
自分で壁の感触をなぞりながら、指を奥まで伸ばすと、すぐに別の刺激が俺の全身に伝わった。
..........ふ、......ん、っ............んんっ、............
- - -
「はぁ..........疲れた........。」
一人ベッドに潜り込んで、横を向くと口から出た言葉。
久しぶりに自身を慰めたけど、なんだか空しい。
どんなに桂の事を思い浮かべても、手に触れる事の出来ない身体が恋しくて・・・。
結局俺に残るのは、空虚な部屋に独りという寂しさだけだった。
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