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第151話

 しばらくの間、俺は桂の家と新しい部屋とを行ったり来たり。 そういえば桂の家のカギ・・・・・ おーはらに合鍵を渡したままだったのを思い出してメールを送っているけど、返信はない。 あれから一週間は経ったが、何も変わらずおーはらは、はじめママの所で世話になっているらしかった。 「まったくどうなってんだよ。お前たちの関係性が掴めないんだけど・・・」 天野さんが俺の店に来るとぼやくが、俺だって分らないんだ。 「所詮はあかの他人ですからね、おーはらが自立できればそれでいいし、はじめママの所なら安心だし。」 と、半分は強がりだが言っておく。俺が一人で寂しいとか・・・・そんな事は思ってほしくない。 桂を亡くし、これからは一人で、桂の分も生きてやるんだからな・・・。 「はじめちゃんが言ってたけどさ、ジュンくんって相当アブナイ連中とも付き合いあるらしいよ。知ってた?」 「........いえ、そんな事初めて聞きますよ。ウソでしょ、アイツが?.......あんなガキが?」 俺は天野さんの顔を見直すと確認するように覗き込んだ。 それは想像だにしなかった事。そりゃあ、ウリをしていたってのは事実だけど、アブナイ連中なんかと付き合う訳がない。 完全に否定したが、気持ちの中がざわついて仕方がない。俺と暮らしている間は、そんな素振りは微塵も感じた事がなかったのに。 「ジュンくんは学生だし、未成年だしさ、はじめちゃんが付いててくれて安心だけど、実の親じゃないもんな。どこまで責任持てるか分かんないよ。ああいう子は、フラ~っと悪い男に摑まっちゃうタイプだしな、・・・ホント、心配。」 まるで、俺にアイツを保護しろと言わんばかりに天野さんが’心配’を強調する。 「・・・・・・・・」 言葉が出て来ない。 俺に心配する資格があるのかさえ分からない。ただ、おーはらの母親の元カレに、預かると言ってしまっていたが、この場合どうなるんだ?出て行かれて、俺が引き留めるも何も、連絡を拒否されているんだ。どうしろってんだよ! 店内の客は吉田くんに任せて、俺は天野さんとカウンターで膝を突き合わせていたが、思い出したように天野さんが言った。 「そうそう、例の物件、内装の打ち合わせをしたいってさ。時間取れる時に、上のマンションに来てくれよ。」 「ああ、そうですね。俺もインテリアの事で気になるものがあるから、今度資料持って行きます。」 ちょっとだけ、頭の中が仕事モードになった。 天野さんの親が所有しているビルのテナントの一つで店を出す事になり、アネキが実家の花屋を継ぐからどうしようかと思っていたが、この間いいアイデアが浮かんで、謙が大きくなったらその店を任せてもいいしと思った。 そんな遠い先の事を思いながら、俺は花カフェを開くことにする。 「じゃあ、連絡待ってる。・・・ジュンくんの事も、なんとかしてやってくれよ。・・・じゃ!」 軽く指を立たせると、俺の店を出て行ったが、天野さんの言葉は俺を悩ませる。

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